15: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:20:48.06 ID:bb4C09gAo
「ええ、それは私にも分かっています」
だかそれは致命的なリスクでもある。
悲しいかな、世界はそれほど優しくできてはいない。
16: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:21:33.19 ID:bb4C09gAo
「最近のあなたが結婚の話しかしないと、あの子が寂しがっていたのです」
鈍器で殴られたような衝撃だった。
ライラがそんな事を?
17: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:22:23.82 ID:bb4C09gAo
私の望みを叶えて幸せになる。
それがライラの考えだったに違いない。
けれどそれは、本心からの願いだったのか。
そうではないから寂しさを感じたのではないのか。
18: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:22:55.94 ID:bb4C09gAo
「……ライラ自身に、か」
そんな当たり前の事を見落としていたのか。
いや、それだけではない。
19: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:23:57.34 ID:bb4C09gAo
「外に出て、いろいろな経験をして。それはあの子を成長させてくれます」
そして妻はそんな私を見放さずにいてくれた。
あまつさえ、私自身が省みる機会すら用意してくれた。
20: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:24:27.33 ID:bb4C09gAo
何やら風向きが変わってきた。
それもおそらく、私にとって都合が悪い方に。
「だってあなた、すぐに手も口も出すんですもの」
21: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:25:06.09 ID:bb4C09gAo
「あの子の事となると、途端にブレーキが壊れるんですから」
向けられた苦笑には思い当たる節がある。
いや、ありすぎるくらいか。
22: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:25:34.15 ID:bb4C09gAo
押しても引いても柔らかく受け止められてしまう。
もう何度となくこんなことを繰り返してきた。
だが実際、こういう時の妻の判断は正しい。
私はいつも助けられてきたのだから。
23: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:26:09.08 ID:bb4C09gAo
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ライラがこの家を出てから、幾ばくかの時間が過ぎた。
24: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:26:43.84 ID:bb4C09gAo
「私は間違っていたのだろうか」
アルバムをめくる手を止め、呟く。
現状を考えれば、正しくなかったのは明白だ。
25: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2022/05/21(土) 00:27:22.54 ID:bb4C09gAo
「答えが聞けるのは、ライラが帰ってきた時……か」
夜ごとに書斎に引きこもる私を見かねたのだろう。
さも当たり前のように、こうして話し相手になってくれている。
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