14:名無しNIPPER[saga]
2022/04/08(金) 18:54:01.26 ID:K7oSWg9M0
蘭子は少女趣味ではない。
御年で23歳にもなって、まだまだ働き盛りである反面、落ち着きも出てきた。
故に、自室は、一見男の部屋と見分けがつかない。
淡い藍のカーテンから、うっすらと光が漏れている。
室内は仄暗いけれども、そこからの光が朝であることを教えていた。
サイドテーブルにはノートパソコンが置かれており、マホガニーのクローゼットは固く閉ざされている。
その脇にある化粧台は、ここが女の自室である絶好の証明と言えるだろう……
寸分たがわない、蘭子の自室だ。
それは寸分たがわないからこそ、不可解極まりなかった。
なぜ私は自室にいる? 自宅にいる?
そんな疑問を抱いて蘭子は身支度を整える。
下地を整え、ファンデーションを塗り、アイブロウを書き加える。アイシャドウはほどほどに、アイライナーで輪郭を整えると完成だ。
彼女はパンプスを履くと、玄関からマンション8階の廊下へと躍り出る。
褥聖都はこれまで何年も繰り返されていただろうごく普通の日常を今日も再演している。
それがいつも通りすぎるように思われて、蘭子はたもとのスマートフォンからニュースをチェックした。
いつもは通勤の電車内で確認するのだが……
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