89:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:58:26.86 ID:XVB8s0iW0
14 『クリフォトの樹』
かの魔界植物はある時から、
人間界にまで根を下ろし、そして人間を捕食対象とし、
その血を糧とする生態を獲得した。
しかし当初、魔界側はもとより、アンブラ族ら人間側もこの樹のことは気に留めなかった。
悪魔たちにとってはただの草木でしかなく、またアンブラ族からすれば
「動物的な悪魔」侵入のほうが大きな被害で目立ち、
かつ素材としての利用価値も高かったからである。
この樹も人間を殺害したとはいえ
後世の『レッドグレイブ事件』とは異なり、
当時は一度の捕食で一人か二人を殺す程度、
かつ捕食頻度も稀であった。
そのため、基本的にアンブラ族の対応は
「余裕があったら駆除する」という消極的なものだった。
だが次第に、この魔界植物はその特性ゆえに
徐々に注目されはじめる。
後世にて『クリフォト』の名が付けられるかの樹は、
殺して吸いとった人間の血と魂を
大きな力に変換するという特性があったのである。
そして力を渇望する魔族ならば当然のこと、
この事実がひとたび明るみになるや、瞬く間に魔界全体に知れ渡り
こぞって利用されることとなった。
人間界に根を誘導し、人間を襲わせ、
樹を育て、そこから力を得る、
そのような手法が流行となったのである。
313Res/336.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20