280:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:29:19.25 ID:XVB8s0iW0
愛という感情を有しているスパーダにとって、
この同族虐殺は己の身を切り刻むも同然だった。
しかし愛を有しているからこそ「人間を守る」という信念は揺るぎなく、
その信念によって力はより増幅し、彼をさらに強くした。
皮肉なことに人の心が、その愛の感情が、
スパーダを恐るべき「破壊」の極致、
さらなる高みへと昇華せしめたのである。
とはいえ彼は単身、いくら絶大な力を振るおうとも、
これだけの軍勢を短時間で全て葬るのは難しかった。
そのため高等悪魔以下の雑兵に対しては
ほとんど狙いを絞ることはしなかった。
標的は主に大悪魔級の将であった。
スパーダは彼らに狙いを絞って殺害した。
特に魔帝直属の将は絶対に逃さなかった。
この直属将たちは、魔帝の掲げる人界侵略の担い手、
いわば魔族の中でもっとも人界への悪意に染まった層である。
生かしておけば後に大いなる禍根となるのは必至、
ゆえに根絶やしにする必要があったのである。
また将らの大半も、敗北は承知の上で
自らスパーダという「死」へ挑みかかっていった。
憤怒と憎悪、そして絶望と恐怖により、
自暴自棄な闘志に呑まれてしまったからである。
そしてごく一部の将は戦場から離脱しようとしたが、
彼らも死から逃れることはできなかった。
スパーダの迅速にして執拗な追撃により、
悉くが狩り殺されていった。
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