268:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:23:05.42 ID:XVB8s0iW0
しかしその行動は、
この悪魔が侵犯者スパーダであることを改めて証明したに過ぎなかった。
彼女たちは容易く制圧された。
命を奪われるどころか、
大きな怪我すら負わずに気絶させられるという形で。
精鋭とはいえ、所詮は侵犯者の相手ではなかった。
このスパーダと真っ向から戦えるのは、
長老たちや抜きんでた英傑などのごく少数に限られていた。
とはいえ逆に言えば、その域の者たちが集結してくれば
スパーダですらも危険というわけでもある。
その者らにクイーンシバやジュベレウスの召喚術、
さらにはその融合型であるOMNEの召喚術などを持ち出されたら、
スパーダもここで殺されかねなかった。
当然ここで死ぬわけにも、
ましてやヴィグリッド中央でそんな破滅的な戦いを
繰り広げるわけにもいかない。
最強格の魔女・賢者が集ってくる前に脱出せねばならず、
いよいよエヴァとの別れのときだった。
エヴァの様子は驚愕と失意、
そして困惑に包まれて呆然としていた。
できればその負の感情を拭うべくもっと説明したかったが、
スパーダにはもう時間はなかった。
彼はささやかな別れを告げ、最愛の人に背を向けて退室しようとした。
きっともう二度と会えない、その覚悟の上で。
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