188:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:35:29.97 ID:XVB8s0iW0
5 人間界の動向
魔帝による人間界へのナイトメア投入、
この事件は諸界の空気を一変させた。
今まで人間界に明確な行動を起こさなかった魔帝が、
ついに直接的な干渉を行ったのである。
その腹底の意図はともかく、害意は明らか。
天界・人間界にとって、不和を脇において最優先で備えるべき脅威であり、
そして魔界においては次の「標的」を示す号令に等しかった。
これまでも魔族は人間界へと侵入してはいたが、
魔界全体からすればあくまでごく少数の行動であった。
「果実戦争」時、人間界に関わった悪魔たちが
クリフォトの樹を育てた咎で魔帝に徹底的に虐殺されたうえ、
その後も侵犯者たちが人間界への介入意欲を見せなかったために、
他の有力な悪魔たちも倣って様子見していた。
だが此度の魔帝の「号令」によって、これら風潮も大きく様変わりした。
魔帝が人間界へと明確な干渉意欲を示したこと、
これをある種の「許可」と受け取り、大多数の悪魔たちも
積極的に人間界への侵入を開始した。
当初は緩やかな増加だったものの、次第にみな大胆になり、
侵入規模も個や少数から大集団へ、格も下等から高等へ、
ついには神格の大悪魔も多数侵入するようになっていった。
この変化は、新人間界の暦では数千年におよぶ緩やかなものだったが、
もたらされる被害は決して緩やかとは言えなかった。
下等悪魔であっても、群れによる侵入が起これば大量殺戮となり、
大悪魔にいたっては天変地異に等しい。
また一部の大悪魔は、単に人間を殺すのみならず、
「神」として文明を乗っ取り、人間たちの魂や信仰を汚染することもあった。
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