186:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:34:29.79 ID:XVB8s0iW0
魔帝の欲求優先の指向は、具体的な侵略計画にも色濃く現れていた。
彼が練りはじめた侵略構想は非常に大規模なものだった。
幾万もの大悪魔の将、そして天文学的な数の兵からなる大軍勢によって、
人間界へと侵攻するというもの。
しかも単に武力で攻撃するのみならず、
魔の領域そのものを人間界に流入させて世界を上書きしてしまおうとも企んだ。
原初時代に闇が数々の世界を飲みこんだように、
人間界を飲みこんで魔界の一部にしようと。
とはいえ、魔帝の当面の目的からすれば
これだけ大掛かりな計画は無駄なものであった。
そもそも単に「世界の目」を強奪するならば、
魔帝自身と彼が所蔵するナイトメア群や選りすぐりの側近のみで良い。
魔女・賢者に標的をしぼり、そこに戦力を集中させるだけで十分だった。
わざわざ大軍勢を集めて、無数の雑兵を人間界全体に展開するような大侵攻など、
さらには人間界ごと取り込んでしまおうなんて
「世界の目」獲得には必要ない非効率な行動だった。
それでありながら魔帝が大掛かりな計画を選んだのは、
「より大勢の人間を苦しませる」という加虐欲によるものだった。
「世界の目」を有する賢者・魔女だけではつまらない、
どうせ人間界に乗りこむのなら全ての人間を虐げよう、と。
そして、こうした悪辣な姿勢もまた
ロキへのより強い挑発になりえた。
魔帝はおぞましき悪意を全面に掲げて、ロキへと迫ろうとしたのである。
堂々と戦うか、それとも人間の滅亡かと。
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