7:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/01(火) 23:54:17.36 ID:zvI7aI9oO
「……あのさ」
「ん? どうかしたか?」
アクセルの街に戻り、屋敷までの道中も父はずっと抱っこしてくれて、僕が思っているよりもずっと父は力があり、体力もあるのだと実感して、弱音を吐いた。
「僕は、怖くて何も出来なかった……」
僕は母上を助けたくても助けられなかった。
「なあ、ロロ」
見えてきた屋敷を見つめて父は僕に諭した。
「どうして誰かを助けるんだと思う?」
「助けたいから」
「違う。助けられる力があるからだ」
父は強かった。母上を助けられる力がある。
「僕は弱いから……誰も助けられない」
弱い僕の涙が雨のように父の肩を濡らした。
「そうだな。だから俺やお母さんが守る」
「だからずっと家に居るの?」
「違う。働かない理由は、働かなくても生きていけるからだ。むしろ働いたら俺は死ぬ」
暴論をほざく父を見かねて母上が口を挟む。
「おいカズマ、何を馬鹿なことを……」
「冒険者時代、俺は何度も死んだだろう?」
「そ、それはそうだが……」
「俺も弱い。だからロロ。何も気にすんな」
父は弱いらしい。でも魔王を倒した。何故。
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