石動乃絵「フィラメントみたいに切れることはない」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/15(火) 23:18:53.66 ID:Uv7BXwyvO
「眞一郎はハロゲンランプ?」
「どうかな。少なくとも直流ではないかな」
「じゃあ、点滅してるのね」
光ったり、消えたり。そんな慎一郎が好き。
「……乃絵の笑顔もさ」
「え?」
「点いたり消えたりして、忙しないよな」
知れず、微笑んだ顔を見られて赤面する私。
「もうこの先一生、笑わないわ」
「そりゃ困る」
「どうして慎一郎が困るの?」
「だって俺は、石動乃絵の笑顔が……」
残り少ない電池みたいに、光が消えかかる。
「特別に眞一郎の前でだけ笑ってあげる」
「……いいのか?」
「よくないわ。特別なことは罪深いもの」
私は仲上慎一郎の特別になりたかった。特別になれなかった。特別になりたいという気持ちが他人を傷ついた。そして私も傷ついた。
「でもいいの。私が、その罪を背負うから」
「それは格好つけてるのか?」
「違うわ。バチバチチカチカしてないもの」
これは素朴な輝き。私の秘めた想いだから。
「石動乃絵の胸に秘めたアブラムシ、か」
「アブラムシは光らないわ」
「そうだな。ただそこに居るだけだ」
仲上慎一郎みたいに。ただそこに居るだけ。
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