60: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:43:47.40 ID:86/EQe0g0
私が店番に集中できていない場合、たいていはお母さんがそれに気づき叱られるというのが常だ。
今日も仕事に身が入っていないという自覚はある。
だがお母さんは怒らなかった。
ポンと私の頭に手を乗せると「休んでなさい」と言われた。
「具合でも悪そうに思われたかな」
そう思いながら部屋に帰って驚いた。
生気のない表情に、泣いたわけでもないのに目が真っ赤だ。
それはお母さんも、心配してくれるはずだ。
ベッドに身体を預けると、私は朋花の事を考えていた。
朋花はあのパンフを読んで、付属していた要項を書いて765プロに送るだろう。
彼女なら絶対に選考に選ばれるだろうし、面接を経て合格するに違いない。
だがそう想像することが、思った以上に自分自身の胸をひどく痛くする。
アイドルとして活動するようになれば、今までのようにはもう朋花とは気軽に会って話したりはできないだろう。
いやそれ以上に、朋花という得難い友が遠くに行ってしまうことが、無性に悲しくて心が痛む。
考えれば馬鹿な話だ。彼女にアイドルになるよう勧めたのは自分だ。
それなのに彼女がアイドルになることを想像すると、こんなにも寂しく悲しくなるのだ。
けれどーー
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