【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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◆/4adlfiarI
[saga]
2022/05/01(日) 23:24:39.33 ID:n1nbGtiAO
一瞬、またちらりと三田村嬢が私を見た。眼鏡の奥に見えるその瞳が、わずかに熱を帯びているように見える。
……あ。
いや、そんなはずはない。この34年、女性とはほぼ無縁で生きてきたからだ。
だが、この向けられている感情は……覚えがないわけじゃない。
これは、恋愛感情だ。
大学時代に、一度だけだが交際経験はある。一応それなりのこともしたが、「堅物で面白くない」と半年で別れた。
だから、私に恋愛は向いていないと思っていたし、実際それっきりだった。そして、そういうものだろうとも思っていた。
ウマ娘のトレーナーになってからもそうだ。担当のウマ娘とは、常に一線を引くよう心掛けてきた。
トレーナーと結ばれるウマ娘は決して少なくはないが、私にはそういうのは合わない。あくまで一指導者として在るべきだと思うようにしていたし、それは正しかった。
公平に、そして的確に。それが今の私の地位を作り上げたのは、疑いない。
だから、きっとこのまま独りで生きていくのだろうと思っていた。それが嫌だというわけじゃないし、寂しいわけでもない。
だが、人に異性として好意を向けられることはあるとは……正直、想定の外にあった。
そして、三田村嬢の感情を理解した瞬間、カレンの心情も推察できた。
……カレンは、三田村嬢の私への感情を理解しているのではないか?
思えば、そういうフシはあった。豚星。に行った時も、牽制するようなことを確か言っていた気がする。
「……三田村トレーナー」
「えっ!?はいっ、な、何でしょう?」
自分の彼女に対する感情は、決して悪いものではない。ただ、恋愛感情かと言えばまだそうでもない。
そうである以上は、ここでカレンの感情を伝えることは、あまり望ましくないように思えた。
とすると……
「……一度、三田村トレーナーからカレンをご飯に誘ってみてくれませんか?」
「え?」
「私は抜きです。こういうのは、女性同士の方が上手くいく。あと、もちろんお礼もします」
「でも、どこに連れていけばいいか……」
私はニコリと笑った。
「もちろん、心当たりはあります」
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