【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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名無しNIPPER
[saga]
2021/12/19(日) 23:22:41.57 ID:OC8luprgO
ピピピピ…………
タイマーの音が鳴った。そろそろ、バクシンオーが戻ってくる頃だろう。
私はシャワーを手早く済ませ、汗を流し落とす。そして制汗剤を吹き掛け、軽く香水を付ける。
バクシンオーは大雑把な性格だが、それでも年頃の娘だ。漢の汗の臭いで、不快にさせてはいけない。
「バックシーン!!トレーナーさんっ、ただいま戻りました!!」
「うむ。食事は全部食べられたかな」
「花丸、ですっ!!」
満足そうに笑う彼女を見てホッとする。万事トラブルなし、良いことだ。
「そうか、なら良かった。時に、今晩は予定があるかな?」
「予定、ですか?」
「そうだ。君の体重は、少々落ちている。私も、そろそろ動かねばなら……」
「ハワワワワ!!デートのお誘いですか!?いかにトレーナーさんでも、不純異性交遊はいかがなものかと……」
顔を真っ赤にしながら慌てるバクシンオーに、私は苦笑した。
「話は最後まで聞きたまえ。君も私とはそれなりに長い付き合いだろう。月に1度の、あれだよ」
「アレ、ですか?」
バクシンオーの頭上に、?が幾つも浮かんでいるのが見えるようだ。
「そうだ。『チートデイ』だよ」
「ちーとでい?」
私は軽く溜め息をついた。彼女は走ることにおいては非常に優秀で、文句のない優等生なのだが、残念なことに物覚えはあまり良くはない。
「そうだ。いい加減覚えてほしいものだが……。
トレーニングをしていると、身体がそれに慣れてしまう。そして的確な栄養素を採っていても、身体がそれを当然のものと感じてしまうようになる。
だから、定期的に好きなものを、思い切り食べて、身体を『自分は不健康だ』と騙すのだよ。そうすることで、トレーニングの効果は高まるのだ。
その、何でも食べていい日こそ『チートデイ』だ。私と君の場合、それは月1回だな」
「はわー。良く分かりませんが、とてもいい日なのですね!!でも、普段からトレーナーさんは考えて美味しい食事を準備してますよね?」
「健康にいいだけで不味い食事ほど害悪はないからな。ストレスを感じさせないよう、そこは考えて作っている。
だが、どんなに美味くしようとしても、栄養素に配慮している以上限界はある。美味いものは健康に悪い。それは悲しいが真実だ。
故に、チートデイでは極力健康に悪いものを食う必要がある。炭水化物、塩分、脂分……多量のそれを摂取できる、最も効率が良く、かつ美味く、しかも安価な食事……それを食べに行こう」
「ハイッ!!で、何を食べるのですか?」
私はニヤリと笑う。……そう、誰より私自身、この日を待ち望んでいたのだ。
「決まっているだろう、ラーメンだよ」
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