【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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146:名無しNIPPER[saga]
2022/01/22(土) 17:15:12.76 ID:fpZyINMJO


「バクシンバクシンバクシーン!!!」


叫び声と共にバクシンオーがゴール板前を圧倒的大差を付けて駆け抜けた。……素晴らしい。

満足して頷く私の背中を、誰かが軽くつついた。

「さすがだねえ、天王寺君」

「塩田トレーナー」

振り向くと、眼鏡を掛けたその細身の男がニヤリと笑った。

「素晴らしい直線の末脚だったねえ。坂対策は万全だった、ということかな」

「まあ、そうですな。このコースはスピード以上にパワーが求められるので」

目の前には、中京競馬場を模した模擬コースがある。バクシンオーは2ヶ月後の高松宮記念の模擬レースに出ていたのだった。
とはいっても、これはただの模擬レースではない。


「チャンピオンズミーティング」……通称「チャンミ」。
トレーナーの査定にも関わる、重要なレースだ。


毎月1度、トレセン学園ではコースを変えた模擬レース大会が開かれる。
先月は「有馬記念」、先々月は「天皇賞秋」。実際のG1をイメージしたコースを、ウマ娘たちは走る。
賞金こそ出ないが、そこにかける彼女たちの意気込みは本番と全く変わらない。むしろ、本番以上に気合いを入れる娘もいるほどだ。

バクシンオーもその一人。「スプリント戦なら負けられません!」と並々ならぬ意気込みだった。
阪神1600の「ヴァルゴ杯」では思うような結果が出せなかった悔しさもあったのだろう。
大腿筋を中心に徹底的に鍛え上げ、直線の坂でさらに突き放す。この狙いは見事に当たった。

フフ、と塩田トレーナーが軽く笑った。

「それにしても5バ身差はそうそうお目にかかれないねえ。噂の『チートデイ』の成果かな?」

「……誰が噂を?」

「ウマ娘たちの間ではかなり知られてるよ?ファインモーションとメジロマックイーン、2人のVIPのお墨付きとあれば、信憑性は嫌でも増す。
そこにもってきて今日のバクシンオーの圧勝だ。君のやり方を学びたいというトレーナーは多くなるだろうよ」

「貴方もですか?」

「バレたか」

ペロッと塩田トレーナーが舌を出す。冗談のつもりだったが、本当だとは。

塩田トレーナーは、沖野君や柰瀬君と並ぶ、トップトレーナーの一人だ。
私と違い、ステイヤーの育成を得意とする。メジロ家のウマ娘が多く師事しており、アリーム君も彼に学んでいたはずだ。



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