【ﾓﾊﾞﾏｽ】小夜啼鳥の歌-SS速報VIP

【ﾓﾊﾞﾏｽ】小夜啼鳥の歌

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11: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 21:57:22.13 ID:1DVCIQ2Eo

それもそのはず、というのが正直な感想だ。
そもそも私に、伝えたいものなど存在しないのだから。

ステージを共にした相手から指摘されたこともある。

12: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 21:59:11.08 ID:1DVCIQ2Eo

「こんにちはですねー」

その声に思考を打ち切り、視線を上げる。
すぐ目の前に見覚えのある顔があった。

13: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:01:09.38 ID:1DVCIQ2Eo

金髪……は珍しいとは言えない。
だが彼女は、そこに褐色の肌と碧色の瞳が加わる。
物語の中でもなければ、そうそうお目にかかれないだろう。

14: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:02:01.51 ID:1DVCIQ2Eo

「わたくし、ライラさんと申しますですよ」

「ええ、知っています。私は……」

15: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:07:04.02 ID:1DVCIQ2Eo

「チヨさんのお名前、どういう字を書くでございますか？」

名前はその人を表す、その人だけのものだから。
だから、ちゃんと知りたい。

16: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:07:53.23 ID:1DVCIQ2Eo

「……千夜一夜」

「どうかしましたか？」

17: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:09:00.22 ID:1DVCIQ2Eo

お互いの名前に、夜という共通点があるらしい。
それは分かったのだが、出てきた言葉は耳慣れないものだった。

「あー……千夜一夜物語、ご存じありませんですか？」

18: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:09:52.71 ID:1DVCIQ2Eo

「魔法のランプに空飛ぶ絨毯、でしたか」

「あー……正解ですが間違いでもあるのですよ」

19: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:10:30.76 ID:1DVCIQ2Eo

「おー、もうこんな時間でございますか」

その言葉に顔を上げると、空が赤く染まりだしていた。
いつの間にこんなに時間が経っていたのか。

20: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2021/12/11(土) 22:10:59.33 ID:1DVCIQ2Eo

こちらに手を一振りすると、彼女は足取り軽く去って行った。
私の戸惑いなど、気づく素振りもない。
けれどそれが、どうしてか好意的に感じられる。

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