9: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:58:41.81 ID:vPGydQ4T0
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『んっ……あ、アアンッ』
「――――ハッ!?」
ゆらゆらと海にたゆたう木屑のような心境のまま、スカーレットを狭い玄関にあげ八畳一間に通した時。
ヘッドホンから漏れ出る女の嬌声でようやく正気に戻った。
「スカーレット! ちょっと待っ――」
「どいて」
そっと肩に乗せられた手。それによって優しく、しかし有無を言わさぬ力で横に押しやられる。ウマ娘に人間が勝てるわけがない。
「へぇ……ふ〜ん」
チャイムの音が鳴った時、ヘッドホンをしているから大丈夫だろうと流しっぱなしだったアダルト動画を、スカーレットが仁王立ちで見下ろす。
「あ、あの……スカーレットさん? それは18歳未満は見ちゃいけないものでして」
「保護者同伴なら構わないでしょ?」
「構いますぅっ」
夜のため声量を絞った不自然な悲鳴は金切り声となった。
ああ、アア、嗚呼!
どうしてこうなった、どうしてこうなった!
俺の自室にスカーレットがいるのはまだ良い。良くはないけどまだ許せる、許容範囲。
時間が既に夜? はいワンナウト。
PCがエロ動画を流してる? はいツーアウト。
腕組みしたスカーレットの額に青筋が浮かんでいる? はいスリーアウトチェンジ、ゲームセット。
投打ともに精彩を欠き大敗。先発の三回途中5失点で始まり、中継ぎも一人残らず失点。打線も単打がわずか二本と、これではお話になりません。
「トレーナー」
「はい!」
「正座」
「……はい」
球場での無惨な敗北に空を仰いでいたが、スカーレットは現実逃避を許してはくれなかった。
今は逆らってはいけないと、カーペットの上で大人しく正座する。
俺の情けない姿を満足そうに見下ろすと、スカーレットはノートPCの前に置いている椅子へ足を組みながら座った。
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