84:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 23:46:56.79 ID:u50g9+A20
それから予定通り三件目も回って、気づけば空は黄金色に変わりだしていた。
予定も、全てこなすことができた。
私たちは、解散することにした。
「それじゃあ、文香。また」
「ええ、奏さんも」
改札で別れを告げて、私は背を向けた。
でも、足が動かなかった。
今日の予定は完ぺきと言っていい。喫茶店も巡って、渡したいプレゼントも渡せて。
あのライブの騒動から考えれば、なにも問題はない。
それだというのに、どうしてか私は名残惜しかった。
もっと、文香と話がしたかった。どれぐらい考えていたのだろう。
もしかしたら、もう文香はホームまで行ってしまっているかもしれない。
でも、それでも。
私は振り返って、文香を追おうと思って、また足が止まった。
改札の向こうで、同じように文香が振り返っていたから。
私と別れを告げた、その場所で。
私たちは、お互いに目を丸くしていたけど、なんだかおかしくて、笑ってしまった。
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