カルネアデス・プリズム(名探偵コナン×竜とそばかすの姫)
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5:探竜唱 ◆2k5pFFm6nI[saga]
2021/11/10(水) 19:42:57.74 ID:mpYq59rk0

「大和班長」

サイレンが聞こえ始める中、地面での心肺蘇生を背に見ながら
スマホをしまってバスに近づく大和に駆け寄って来る者がいた。

「陣内か」

駆け寄って来たのは制服警察官二人、
大和に声を掛けた陣内巡査部長とその部下の巡査達。
陣内は近くの交番に主任として勤務しているが、
地元に精通し熱心な職務で信望を得ている様は
若き顔役の片鱗と言える程で、一課の大和も一目置いていた。

「自邏隊が先着して交通整理や報告を始めています」

陣内が言い、異常な蛇行運転を見せた幼稚園バスの横っ腹に
目の前の進路を塞がれたワンボックスカーが突き刺さった現場に向かう。
ワンボックスカーの運転席からサラリーマン風の男がよろよろと出て来た。

「おい、大丈夫か?」

「息、出来ないぐらい痛い、いだだっ」

警察手帳を見せる大和に、男が苦しそうに堪える。
大和が男の胸に軽く触れると悲鳴を上げた。

「肋骨みたいだな。無理に動くと内臓を傷つけかねない。
ゆっくり歩道に避難出来るか?」

敢助の言葉に頷いたサラリーマンが巡査の肩を借りて移動する。

「非常コックを探して下さい」

「あった」

バスの背面で由衣が言い、コックを見つけた陣内と共に背面非常口を開けた。
それと共に、数人の園児が泣きながらバスを飛び出す。
すれ違いにバスに入った由衣は、
思い出した様に次々と始まる号泣にたじろぎそうになる。
それは陣内も違うとは言えなかったが、
それでも彼の方が耐性がありそうで、二人で宥めながら先に進む。


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