カルネアデス・プリズム(名探偵コナン×竜とそばかすの姫)
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43:探竜唱 ◆2k5pFFm6nI[saga]
2021/11/19(金) 21:58:24.91 ID:bkX679Ux0

「もしもし、私、高知県××××高校2年×組別役弘香と申します。
捜査一課かそこに伝わる人をお願いします。
東京都西多摩市北部住民センターで本日発生した
傷害事件に就いて至急お話ししたい事があります」

弘香が少しばかり指で机をノックして、話を再開する。

「もしもし………はい、そうです。
ルール違反で大変申し訳ないのですが、
これからお話する事の要点は、××時××分××秒に私の名前で
既に捜査一課の×××××アカウントにダイレクトメッセージ済みです。
まず、その傷害事件の被害者渡辺瑠果は私の同級生で友人です………」

弘香は、過去の経験やそこからの関心により、
関係機関がどの程度手放しで信用出来るかと言う事をある程度学習していた。
鈴が自分の忠告を振り切ってリスク満点の選択に突き進んだ時点で、
面倒見切れないとマネジメント契約解除を申し渡す、と言う選択肢もあった。
何しろ、これまでは陰でニシシシとほくそ笑んで見ていた
億単位の熱烈な好悪の渦に生身で突撃した、
電子の世界ではもう抜けられないのである。
只でさえ一見して大人しい「陰キャ」の鈴と、聡い、賢い心算で実際賢い、
その分自分の弱さやリスクにも敏感な弘香が今後も乗り切る事が出来る。
なんて事を楽観的に考えられる状況ではない。
だが、生憎と、ベルの育ての親の匿名プロデューサーマネージャー、の他に、
別役弘香は「内藤鈴の親友」と言う手放し難い肩書も持ち合わせていた。
加えて、だからと言って手放す、と言うには面白過ぎる、と言う本音もあった。
腹をくくり、色々勉強もした。
安全圏を出て傷つかざるを得ない幾つかの経験も積んだ。
今以て苦手な事には違いない、自宅を共にする経営の大先輩からも
幾度となく有難いお説教をいただいた。
だからと言って、これからもずっと上手くいく、なんて思える訳ではない、
と言うより、今現在リアルタイムで崩壊レベルの大ピンチな訳だ。
スマホのメッセージを見て、操作を続ける。
騎兵隊よりの伝令に勇気をもらい、戦いを続けよう。
内藤鈴の親友として、相棒として。

「もしもし、吉谷さんですか? 別役です」


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