カルネアデス・プリズム(名探偵コナン×竜とそばかすの姫)
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35:探竜唱 ◆2k5pFFm6nI[saga]
2021/11/19(金) 19:22:58.02 ID:bkX679Ux0

言葉を交わす二人を見上げながら、
コナンは雅人の声、眼差しが、眼鏡を掛けた一見穏やかな紳士のまま
仕事のそれになるのを感じていた。
ミネラルウォーターや布巾の束が用意され、
手袋をはめた雅人の手で傷口の洗浄、保護が進められる。

「灰原?」

そこで、コナンが異変に気付く。
先程迄は、元来の優しさからか少々立場を忘れていないかと言うぐらい、
指令塔の一翼を担う頼もしさを見せていた灰原哀が、
どす黒い酒の気配でも感じたかの様に目を見開いていた。

「あなた………ベルの、何?」

(ベル?)

哀の言葉を聞き、コナンはスマホを取り出した。

(ベル、『U』の歌姫)

即座に思い当たったコナンがスマホの画面に目を走らせる。

(これは………それに、彼女の話し方も、ベルのオリジンも確か高知)

コナンこと工藤新一は、歌を歌わせるとド下手の部類に入るが耳はいい。
加えて、素人離れした語学の達人であり、
海外経験豊富な両親と共に外国語への精通に加えて
日本各地の方言にも通じている。
その上、新一の母親である工藤有希子は
坂本乙女役を当たり役とした往年の名女優だ。
新一が生まれた時には既に引退していたが、
そのうるさ型をも唸らせた有希子の猛勉強猛特訓の成果は、
父母の膝に乗せられていた頃から新一の耳目に繰り返し焼き付けられていた。

「ちょっとだけすいません」

もう一度、コナンが画面と見比べようと視線を向けた先で、
治療を受けていた少女が小声で言って周囲を手で制して立ち上がる。
一歩、二歩と歩を進め、哀を見下ろした。


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