藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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37:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 14:39:04.55 ID:/ZuqsV3u0
 駅に着くと、肇さんは想像した以上に大荷物だった。

 これじゃあ、ほとんど何も用意せずにやってきた私がバカみたいだ。
 申し訳ない気持ちのままに手伝いを申し出ても、肇さんは笑って手を振る。

「私が勝手に持ってきただけですし……あ」

 おもむろに肇さんは、背負っていたリュックを下げてゴソゴソと中を漁った。
 取り出したのは、一枚の薄手のジャンパーだ。

「じゃあ、これを」

 曰く、目的の場所までは、鬱蒼と生い茂る草木の中を歩くことになり、虫にも刺されるのだという。
 何も考えず、ノコノコとノースリーブでやってきた私が、やはりバカみたいだ。

「……ありがとうございます。すみません」

 この埋め合わせは、どこかでしなくてはならない。



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