ケネス・スレッグ「厄介なものだな……生きるというのは」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2021/10/16(土) 20:44:29.48 ID:oFH6VTwXO
「生きていく上で、清廉潔白であり続けることは極めて難しい。自ら望んで悪に傾くこともあれば、仕方なく、やむを得ず悪事に手を染めてしまうこともある。何故だと思う?」
「守るべきものがあるから?」
「そうだ」

こんなことを解説している自分が嫌になる。

「極論を言ってしまえば、自分の守るべきものを害する存在はすべからず悪となるのさ。そしてそれぞれの守るべきものが異なる場合にぶつかり合う。どちらもお互いが正しいと主張にして、自らがやっていることが悪そのものであるという事実には気づいていない」
「なるほど……その理屈で言うと、マフティーは地球環境を守るために地球に住む全ての人類を悪者に捉えているということですね」
「ああ。だからこそ、奴は子供じみている」

自分の正しさを貫き通すには戦うしかない。
大きな理想を掲げれば掲げるほど、相対的に戦うべき悪もまた巨大に膨れあがっていく。

「マフティーはもっと小さな理想を掲げるべきだった。例えば奴が通路を挟んだ向こう側の席に座っていると仮定して、手を伸ばせば届く距離に存在しているうら若き美女だけを守れたらそれでいいという理想を掲げていたのなら、俺は奴と敵対することもなかった。いや、男としてはともかく、軍人としてね」
「話を逸らすのがお上手ですこと。ですがそれでは何も成せず何も変わらないのでは?」

わからないか。変化こそを大衆は恐れると。
口では変革を望みつついざ実現する際に積み上げられた死体の数を見た途端に閉口する。

「マフティーにどれだけの覚悟があったとしても、民衆には覚悟がない。それでいい。それこそが秩序であり、平和の証明だからな」
「泣き寝入りしろと?」

涙を流せるなら健全だ。大半は枯れている。
いや、違うな。大人たちは皆、疲れている。
だから事を荒立たせることを疎ましく思う。


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