【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】
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751:名無しNIPPER[saga]
2021/12/26(日) 20:24:21.43 ID:cwdFBBsg0
81 失敗

「そうか...純粋なんだな。お前の申し出は、正直いってありがたい」

それなら、と思わずカズミは椅子から身を乗り出す。

「だがそれだけに、その純粋さを利用しようとしているヤツらの思惑が透けて見える。それに雇用主との契約はまだ終わってない。だから裏切るなんて選択肢はない」

「サノスさん...」

その様子を別室で見ていた職員が溜息をつく。

「やっぱり駄目でしたね。カズミちゃんが、と言うよりは私達に対する敵意みたいですけど」

「そうでもない」

シエラ=レオネの口の端が僅かに上がった。

「カズミが部屋に入ってきた時、奴はこう言った。俺の口を割ることができないからって、とな」

その言葉を聞いて職員の目の色が変わった。

「自分の口はまだ割れていない、そう認識している以上は、まだ何か情報を隠し持っていると?」

「そうだ」

「なるほど...。ではどの様に喋らせますか?」

「家族の事を脅せばいい。最悪、例の自白剤を使ってもいい。だがあくまでそれは最終手段だ」

「そうですね...。アレを投与された人間は廃人まっしぐらですからね」

職員は過去に見た光景を思い出して身震いした。

「では指示通りに進めます」

職員はシエラ=レオネに敬礼をすると部屋を出て、カズミと入れ替わりサノスに対する尋問を始めた。
そして尋問室を出たカズミはシエラ=レオネのいる別室に押しかけた。

「サノスさんのご家族を脅迫するって本気ですか!?」

カズミの剣幕を意にも介さずシエラ=レオネは頷いた。

「そ、そんなの許されないですよ!」

するとシエラ=レオネの鋭い眼光がカズミを射抜いた。今までに何度かだけ見た優しい目とは大違いだ。

「何を勘違いしている」

「え?」

「我々は正義の味方などではない。我々の目的はブルトニア共和国を守る事だ」

「でも──」

「頭を冷やしてこい」

シエラ=レオネは怒鳴る事なくそう告げたが、その声は感情や心を殺すような冷たさを帯びていた。

「わかり...ました」

カズミは特務機関やシエラ=レオネに対して渦巻く感情を必死に抑えながら部屋を出た。

「...あの年の少女には酷か」

それにそもそもカズミは特務機関に自発的に入った訳ではない。カズミとどう向き合うべきか悩みながらも、シエラ=レオネは再びサノスに視線を移したのだった。


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