【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】
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名無しNIPPER
[saga]
2021/11/03(水) 20:45:04.20 ID:08YKQNta0
45 オルデンリッジ
「風邪をひくぞ」
そう言いながらストールをカズミの肩にかけた。
「ありがとうございます。ちょっと気分転換をしてて」
「まあ、確かにここ数日採掘地の防衛が続いているからな。疲れるのも無理はない」
「はい。それに、防衛に加えて軍部の人たちに身分がバレないよう気も抜けないですし」
カズミ達は名目上では政府が雇った傭兵という事になっていた。
一介の傭兵が軍部の最新型を上回る機体を持っていることについて疑義はあるが、どこかのPEM製造会社の試作機ではないかと考えられている。もちろんそれはそれで軍部にとって脅威である事には変わりないが。
「ま、軍が何かに感づいたとしてもそう簡単には手を出してはこれない、安心しろ。それよりも当面の問題はガーディアンオブエデンだ」
「そうですね...っくしゅん!」
すると突然強い風が吹いて、カズミはメルクリウスの貯水槽に落下しそうになった。
「っと、気をつけろ!」
咄嗟にオルデンリッジがカズミを引き寄せたので最悪の事態は免れた。
「す、すいません」
「構わん、だが気をつけろ。万が一あの中に落ちでもすれば、一生を廃人として過ごすことになるぞ」
「...はい」
メルクリウスの使用に反対する人々にとってその理由の一つとなっていることだが、メルクリウスには強い依存性があり、摂取しようものなら中毒は免れない。
メルクリウス中毒患者の脳は、最終的には神経が焼け切れたようになることで知られている。
「...改めて思うと俺たちはこんな危険なものを日常的に使っているんだな」
「...ですね」
「それに地鳴りのこともあるしな」
そうオルデンリッジが言ったの同時に、地の底から鈍く低い音が響いてきた。
「噂をすれば何とやら、か」
「これって地震ではないんですよね?」
「らしい。メルクリウスを採掘する時には付き物だが、一体何なんだろうな。学者連中もよくわかっていないみたいだが、現に音はこうして聞こえてくる」
「少し怖いですね...」
それを聞いたオルデンリッジは軽く笑った。
「今はガーディアンオブエデンの方が怖いさ。さあ、もう寝ろ」
「はい。付き合ってくれてありがとうございました」
そうして2人は解散し、互いに眠りについた。
翌日、カズミは軍の人間と共に採掘地の警護に当たっていた。
昨日に引き続き何事もないかと思われたが、そうはいかなかった。
「我々のアルテミスが敵を確認した!ガーディアンオブエデンだ!」
アルテミス──ブルトニア共和国軍が制式採用している機体だ。航空能力に優れており、偵察をもとに素早い作戦展開を得意とするブルトニア軍の戦術を支えている。
「すぐに接敵する!戦闘態勢に入れ!」
軍の人間が無線でカズミとオルデンリッジに伝えてきた。
それから数十秒後、ガーディアンオブエデンの部隊が現れた。
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