【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】
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325:名無しNIPPER[saga]
2021/10/30(土) 20:54:04.39 ID:xDV0gLOg0
カズミはふとエヴァを見る。彼女はキョトンとした顔で見つめ返してきた。

もしエヴァが特務機関ではなくデームロファミリーのような犯罪集団に見つかっていたら?どうなっていたかは想像に難くない。ひたすらメルクリウスの特定に駆り出されていただろう、それも劣悪な環境下で。

勿論実際にエヴァが被害を受けたわけではない。だが自分は彼らを許せるだろうか、カズミは自身にそう問いかけた。

「勿論許せないよ」

「ほう...?」

カズミは知らず知らずのうちに考えが口に出ていた。怒りで拳を握りしめながら、続けて言う。

「もちろんデームロファミリーがやってる事は悪です。でも今の貴方達がやっている事は私刑です。それでは彼らと同じ穴の狢です。キチンと正式な手続きで──」

カズミの言葉を聞いてゼウスは大きなため息をついた。

「だから言っただろう?その取り締まる側が彼らを容認しているんだよ。...まあいい、君はここで見てるといい。助けを求める人たちを無視しながら、ね。ああそれと、メルクリウスの違法な売買に関して、君の愛するブルトニアも例外じゃないとだけ言っておこう」

すると周りにいたPEMが次々と採掘地に向けて移動し始めた。その中には当然ヘルミラーもいた。

数分もするとマフィア側のPEMとの戦闘が始まり、銃声や爆音が響き始めた。

「あなたの気持ちもわかります」

突然、後ろにいるライが口を開いた。

「私たちのやっている事は行き過ぎた正義の暴走ではないかと、何度も自身に問いかけました。実際、悪辣なマフィア達にも守るべき家族は存在するのです。彼らからすれば我々こそ悪かもしれない」

ライは抑えていた何かを解き放つように心情を吐露する。

「それに我々がテロ行為を行なっているのも事実です。それでも...それでも傍観は正しいと言えるのでしょうか?誰かを助けられる力があるのにしがらみに囚われて、何かを言い訳にして、見過ごすなんて...」

カズミは何も言うことが出来ず、ただ聞いているだけだった。

「あなたを非難するつもりはありません。それでも私は目の前の人を助けたい、それだけです。...これは正義云々ではなく、ただ私の信条の話なのかもしれませんね」

ゼウスの捨て台詞とライの独白はカズミに深く突き刺さった。彼らは彼らで信じるもののために戦っている。自分にそれを否定することが出来るだろうか?

カズミはそんな事を考えながら、敵を殲滅するヘルミラーを眺める事しかできなかった。

戦闘と労働者の解放が終わり、採掘地が破壊されると、カズミはガーディアンオブエデンと移動し、目的地に到着すると再び目隠しをつけられ部屋に押し込まれたのだった。

それから数日間は何の音沙汰もなく、ただ監禁されるだけの日々が続いていた。

「はぁ...」

今日もただ空虚な1日を過ごすのかと思っていた時、突然地面が揺れた。続いて爆発音が聞こえる。

相変わらず縛られ、目隠しをされているので何が起きているのかわからないが、あまり穏やかな状況ではないことはわかる。

「エヴァは無事かな...」

「うん」

「えっ!?」

驚いているカズミの目隠しをエヴァが取る。

そこにはいつもと変わらないエヴァの姿があった。少なくとも酷い扱いは受けてなかったように見える。

「じっとしててね」

そう言うとエヴァは懐から小さなナイフを取り出し、カズミを縛る縄を切った。

「ど、どうやってここに!?」

「...ひみつ!それよりADMのとこにいこ?」

「う、うん」

未だに混乱しているカズミであったが、ADMの確保はエヴァの言う通り優先すべきことだと考え、部屋を後にした。

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