79: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/07(火) 20:27:26.98 ID:oo6gk2NrO
それは『どんな学校でも企業でも、フリーパスで入学ないし入社ができる』というもの。例え学力が低くても有名私大に入ることは容易いと聞く。
「まぁ正直、半信半疑だったけどさ、なんか本気にしてもいいっつーか、もう疑う余地がないみたいな?」
授業料としてお金を払うどころか、お金を貰えるというのは一般的な学校とは大きくかけ離れている。
そんな常軌を逸した制度があるからこそ、裏口入学や裏口入社といった話も現実味を帯びてくる。
そんな美味い話の裏には当然、
「────」
あぁ、ダメだ。また考えすぎている。
わたしは思考を止める。
今はただ、この場を楽しんで友達を作らないと。
あらゆる状況を想定した脳内シミュレートは数ヶ月前に卒業したはずだ。考えすぎると、またああなる。
冷水で喉を潤すと同時に、熱くなった頭を冷やす。
さらに胸の内で深呼吸をすると、だいぶ視界がクリアになったのが分かる。
「てかさ、春宮さんって────」
清水さんが何かを話そうとしたタイミングで、注文した料理が運ばれてきた。案の定、名前を呼ばれて。
一通りテーブルの上に料理が置かれると、清水さんは話を戻すことなく、幸せそうに食事を始めた。それほど重要な話ではなかったのだろう。
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