596: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/11/30(火) 08:52:33.17 ID:BuUp22UaO
そんな東雲さんは、正に人との距離感を掴むのを不得手としているらしい。と言っても、特別クラスで浮いているという話を聞いたこともない。確かな信頼を得ながら、クラスメイトと友人の間に引かれた一本線を越えないようにしていると見受けられる。
そしてそれは、故意というよりは彼女自身が自然と作り出した偶発的な隔壁であることが今日わかった。
友人との接し方が分からない彼女なりの処世術なのだと。
外見や言葉遣い、立ち振る舞いに至るまでいかにも深窓の令嬢感が出ているし、もしかしたら本当に良いところの生まれなのかもしれない。
「……そういえば」
気になっていたことを思い出す。
彼女が口にした『教官』という単語。
教官……ねぇ。小学校や中学校の先生か、塾の先生か、その他の習い事の先生……あるいは、家庭教師のような方をそう呼んでいるのか。
その姿は靄に包まれて見えない。
特別気になるという訳でもないけれど、少し言い方が気になっただけ。今時、教官なんてそうそう聞くような単語ではないから。
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