587: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/11/26(金) 01:43:47.70 ID:YgBFoyleO
「もしよかったら使ってみる?」
「…………わたくしは、そういうのは……」
日頃、常に余裕を感じさせる表情を絶やさない東雲さんだけれど、この瞬間だけは伏し目がちに暗い表情を見せる。
ヘアオイル自体が嫌いなのか、手に取ったことがないモノへの抵抗感か。
ライバルという関係であっても、彼女とは仲良くしたいと考えている。そこに損益は存在せず、ただひたすらに彼女とは学生として、そして人間として成長し合える何かがあると直感で感じ取れる。
「嫌い?」
「き、嫌いでは……ないんですけれど」
「じゃあ付けてみようよ。今も綺麗な髪だけど、もっと綺麗になると思うから」
わたしは東雲さんの後ろに立ち、ヘアオイルを少々ずつ手に取って長い黒髪に馴染ませていく。
普段使いしている洗髪剤の香りとローズの相性は悪くなさそう。きっと喧嘩しないで良くまとまってくれるはず。
一通り馴染ませた後、僭越ながらドライヤーで髪をしっかりと乾かしていく。ローズの香りが心地良い。東雲さんもリラックスしてくれているようで何より。
10分近くかけて乾かし、ドライヤーを置く。
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