398: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/10/07(木) 22:04:43.95 ID:KFWSPOjR0
もうこの段階からわたしを欺くための演技が始まっているとすれば本当によく出来ているけど、恐らくそれは考えすぎだ。
「実はね、Aクラスの東雲さんが春宮さんに会いたいみたいなんだ。この後、19時30分からなんだけど…」
「うん、大丈夫だよ。30分後だね」
現在は19時前。今夜は夏帆先輩のお料理教室の日でなく、勉強会もひと段落着いた。
ケヤキモールで少し買い物をしてゆっくり帰ろうと思っていたところのため、このお誘いを断る理由もない。それに話してみたかったというのもある。
「場所はケヤキモールの入り口。もう居るみたいだから、出来れば早めに着いて欲しいなって」
それなら尚のこと早めに言い出して欲しかった。
集合時間まで時間があるとはいえ、このまま律儀に30分も待たせる訳にはいかない。
「じゃあ行こっか」
「あ、ううん。僕は行かない……というか、行けないんだ。春宮さん一人で来て欲しいって」
「そっか、わかった。じゃあこれから行くって伝えて貰える? 5分、10分で着くと思うから」
「もちろん。東雲さんは分かる?」
「今日会ったばかりだからね。大丈夫だよ」
クラスメイトの神宮くんを経由するにも関わらず、彼を外してわたしだけを呼んでいる。
明日から始まる特別試験の事だとすれば、一緒に行った方が良さそうなものだけど…。
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