359: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/10/02(土) 12:37:37.64 ID:oaa+Ihd4O
クラスの大半が伊藤先生に対して好意的な意識は持っていないが、それでも褒めて貰えたことが嬉しいのかクラス中に笑顔が溢れる。
「春宮さんのおかげだね!」
「あれが無くても俺は大丈夫だったが、この結果はあれが無いと出せなかった! 良かったな!」
偽の過去問題作成については、わたしの中で反省点が残る。予想問題の約9割は実際に出題されたが、残りの1割は予想から外れていた。
次回のテストでは精度100%を目指したいと目標が定まった頃、
「みなさん、携帯を机の上に出してください」
冷たい言葉が伊藤先生から発せられる。
テスト結果に浮かれているところを釘刺される形になり、クラス中に緊迫感が漂う。
中間テストの後、結果発表の後。
このタイミングでの携帯が指し示すものは、不正行為の確認か。わたしがグリープチャットへ送った自作の問題用紙が不正に触れることはないとして、やはりカンニングが濃厚な線か。
生徒は全員、机の上に携帯を出す。
後ろの席から確認できる範囲では、誰一人としてその行為に躊躇う様子はなかった。何もやましいことはしていない、と堂々としている。
腕時計を見て少しの間を置いた後、先生は改めて教壇を登って教卓の前に着く。
「先に言っておきますが、中間テストに関することではありません。不正はありませんでした。皆さんが積み重ねてきた学力、そしてこの2週間のテスト期間で取り組んできた勉強の成果が後ろの点数です」
赤点を取ったら退学を提示してくる学校のため、不正行為は最低でも停学、あるいは退学そのものを突き付けられるかもしれないと思っていただけに、その言葉を聞いて安心する。
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