341: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/29(水) 23:02:32.27 ID:CzbvQSmYO
見学という仕組みを利用すれば構成人数を調査することくらい誰にでも出来るという訳だった。
「〜♪」
上機嫌な雨宮さんはギターコーナーを抜けて電子ピアノコーナーへ。数台置かれているだけだが、値段は安いと感じるものから数ヶ月分のポイントを必要とするものまで幅が広い。
ここでふと、フルートやクラリネットは置かれていないと気が付く。あまり詳しくないけれど、あれは吹奏楽の楽器なのかな。この学校に吹奏楽が無いため、ここでは取り扱われていないのかもしれない。
軽音と吹奏楽の違いもよく分からないけれどね。
そんなことを考えていると雨宮さんがこっちを向いて聞いてくる。
「春宮さん、つまらない?」
「え、ううんっ。楽しいよ。全然わからないけどね」
「じゃあ試しにちょっと弾いてみようよ」
そう言って、雨宮さんは店員さんに一声かけて許可を取る。今はわたし達以外に人が居ないため自由に弾いてもいいようだ。
座って座って、と電子ピアノの前に設置された椅子に座ることを促され、素直に座る。
「弾いたことある?」
「ほんの少し触ったことがあるくらいかな。ここがドだよね」
「あ、そうそう。いけそうだね」
雨宮さんはわたしの後ろに周り、鍵盤に乗せた手のひらに手を重ねてくる。
「お馴染みの曲ね」
わたしの手の上に乗せられた雨宮さんの手が動く。
ゆっくり、聞いたことのある曲が奏でられる。
お店の閉店間際に流れる例の曲だ。
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