303: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/25(土) 16:20:53.03 ID:TuZ+rf/1O
エレベーターを出て左側がわたしの部屋がある1101号室方面、右側が雨宮さんの部屋がある1111号室方面だ。
部屋番号を確認しながら右へ歩くと、右側の角から5つ目に『1111号室』と表札が掲げられている部屋を見つけた。部屋の前のインターホンを鳴らして数秒。扉が開かれる。
眼鏡をかけた部屋着の少女が姿を見せる。
「あんまり長話はしたくないから、要点からどうぞ」
「なら率直に言うね。勉強会に─────」
「やだ。人と会いたくないの。今回だって本当は無視するつもりだったけど、この際に言っておいた方が良いって思った。学校で話しかけられても嫌だからね」
出鼻を挫かれる。
会うことを承諾してくれた以上、交渉の余地はあると思っていた。しかし実際は、ほぼ出会い頭に誘うなとノーを突き付けられる。
まともに交渉に応じてくれなさそうな雰囲気だが、ひとまず話だけはしてみよう。
「次の中間テスト、赤点を取ったら退学なんだよ?」
「そもそも、たかだか小テストの結果が微妙だったから私に声をかけてきた訳でしょ? 本番のテストで赤点を取らなければ退学にはならない。違う?」
「それはそうだけど……。一緒に勉強会をした方が点数が取れるんじゃないかなって」
「必要ない。一緒に勉強会って、あの男達とでしょ? 普通に無理だから」
放課後組の男子生徒4人のうち3人は女子から煙たがられている側面がある。口が軽いとか、いやらしい視線を向けてくるとか、そんな話が絶えない。
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