207: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/19(日) 14:00:10.89 ID:wv2ppvvR0
【>>206
7:「水泳部が新生徒会に宣戦布告だって!」】
「おっと。今年は早いなぁ」
ゲームを嗜む乙葉先輩が小さく呟いて数秒後、鞄の中に入れていた携帯が通知を知らせてくる。
わたしは鞄から、神宮くんはブレザーのポケットに入れていた携帯を取り出そうとしたとき、乙葉先輩がソファの背もたれに掴まって起き上がる。同時に錦山先輩と内山先輩、生徒会長席で寛ぐユキ先輩までもが立ち上がった。
「よし、行くぞ」
錦山先輩が先導して生徒会室の扉から廊下へ出る。
ひとまずわたし達も立ち上がり、並行して携帯に届いた通知を確認する。想定通り『生徒会(仮)』のグループチャットに向けて一通の連絡事項が届いていた。
その内容は─────。
「なーにしてるの? 行くよ?」
その連絡事項の意味が分からず立ち尽くすわたし達に上機嫌な乙葉先輩が声をかけてくれる。
わたしは改めて連絡事項の一文を読み返すが、やはり理解が追いつかない。無理に考えるのは諦めて、携帯の画面を先輩に見せながら訊いてみる。
「水泳部と対決するからプール集合ってどういう意味ですか?」
「そのままの意味だよ? 宣戦布告されたから、ちょっと懲らしめに行ってやろうってね」
「懲らしめる……」
「そうそう。新生徒会の力を見せてやろうじゃないかってハナシ。売られた喧嘩は買うのが生徒会だからねー」
言っている意味は理解できたが、行動に移す意味が分からない。ただそれでも先輩方が決めたのなら、下級生であるわたしが否定する権利もない。
わたしと神宮くんは顔を見合わせてお互いの動向を伺うが、それもほんの少しの間だけ。
二人揃って乙葉先輩の後を追うように生徒会室を出る。
新生徒会が発足して初日。
早速、この生徒会室は無人の部屋となった。
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