【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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84: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/09/11(土) 16:11:25.31 ID:7dDG1CMU0


 頭上に広がる鈍色の空は、今にでも落ちてきそうなほどに鈍重な雰囲気をまとっていた。

 今朝の予報は雨だったが、まだ降っていないことを幸運と思い安堵するべきか。あるいは、これから降るかもしれないと心配に頭を悩ませるべきか。

 いずれにせよ――この時を待っていたことに変わりはない。

 調整は万全といえた。

 キンイロリョテイの脚はまだ完成していないとはいえ、それでも彼女の持つポテンシャルはまさに黄金。

 今日も中山競馬場のターフに、黄金の走りを体現してくれるだろう――。


「で、何やってるんだ……?」
「何ってそりゃあ……知恵の輪だけど?」


 かちゃり、と今まさに解けたらしいそれをこちらへと差し出してくるキンイロリョテイ。

 俺はそれを受け取りながら、ため息交じりに問いかける。


「緊張とかしてないのか?」
「あ? するわけ無いだろ」
「……随分と肝が坐ってるんだな?」


 その言葉に、キンイロリョテイは少し目を見開いた後――口を大きく開いて大笑した。


「肝が坐ってるとかどの口が言ってんだ? アンタが私をこうしたんだよ」
「……俺が?」


 首をかしげる俺に、もう一方の知恵の輪を押し付けたキンイロリョテイは笑って――指を立てた。


「ああ、だから見てろよ。アンタが育てた私は――誰よりも強いってことを証明してやるよ、トレーナー!」


 歯を見せて笑うキンイロリョテイに、俺は思わず呆気に取られてしまった。

 まさかそんなことを言われるとは思っていなかったから。

 だが、そんな言葉が、とてもうれしく思えて。


「君なら勝てるよ、キンイロリョテイ」
「当然だろ?」
「ああ、当然だ」


 満足げに頷いたキンイロリョテイは、さて、と一つ呟いて扉の方へ歩みだす。


「じゃ、今日の帰りはステーキな?」
「……考えとくよ」


 うし、と小さくつぶやいて、外へ出ていくキンイロリョテイ。

 その背中は俺よりも小さいが――何処までも大きな、頼もしいものに見えた。




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