【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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658: ◆FaqptSLluw[saga]
2024/06/28(金) 20:00:28.27 ID:ppyp0opk0

「……落ち着いてきました」

「ならよかった。この手は?」

「そのままで」

「はいよ」


 ……あれから十数分。俺はスペシャルウィークの頭をただ撫で続けていた。

 記憶が流れ込んできたショックでハイになっていたスペシャルウィークも、今は落ち着いているようだ。

 ただ、まだリラックスは出来ていないようで、緊張しているかのように耳としっぽは立っている。

 なんとなくだが、今は咀嚼している段階なのかな、と思う。

 だったら、スペシャルウィークが話せるようになる段階まで俺は待つだけだ。


「……トレーナーさんは、なんで消えちゃったんですか?」

「あんまり信じられない話かもしれないけど、笑わないで聞いてくれるか?」


 スペシャルウィークが頷いたのを見て、俺は口を開く。もちろん頭を撫でるのは忘れずに。


「俺は、各レースごとに設けられた目標を達成できない場合にループしてしまうらしいんだ」

「ループ、ですか」

「そうだ。トレセン学園の校門をくぐる前まで時間が巻き戻る……っていうのかな」

「じゃあ、私がメイクデビューで負けちゃったから……」


 はい、とは死んでも言えない。

 スペシャルウィークは才気あふれるウマ娘だ。俺以外の、もう少し実力があるトレーナーに育ててもらっていれば、メイクデビューなんて簡単に勝ってしまうだろう。

 だから、あの結果はスペシャルウィークのせいじゃない。俺のせいなんだ。


「君のせいじゃない。事実、君は中山の……日本一に一度輝いた素質あるウマ娘だ」

「じゃあ、あの負けはトレーナーさんのせい、って言いたいんですか?」

「……事実、そうだと思っている」

「あんまり自分をバカにしないでください、トレーナーさんとはいえ怒りますよ?」


 たしなめるように微笑むスペシャルウィーク。上目遣いでこちらを見上げてくるのも、頬を膨らませているのも、見れば見るほど年相応の少女のものだった。

 それでも、その言葉たちには数十年の含蓄がある。彼女の言葉は、説得力に満ち溢れていた。


 ……それから、少し時間が経って。スペシャルウィークの様子がようやく落ち着いてきた。

 緊張でぴんと張りつめていた耳も尻尾も、今はゆらりと揺れている。……相変わらず手は頭から離せそうにはないけれど。

 離れていた時間が長いからだろうか。この体制のままとなるとスペシャルウィークにとってはキツそうだが、崩しそうにない。

 ここは……。


「立ちっぱなしじゃなんだから、一回座らないか?」


 俺の言葉にスペシャルウィークは頷いて、近くのベンチについてきてくれる。

 俺が座った位置にスペシャルウィークも座ろうとするが、俺はそれを止めることはできなかった。

 ……さて、席を移したが先ほどまでと状況自体は何も変わっていない。ここは何か話をするべきだろう。


――――――――――――

下1 トレーナーは何を話す?


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