【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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652: ◆FaqptSLluw[saga]
2024/06/28(金) 18:57:16.82 ID:ppyp0opk0

 スペシャルウィークは、俺の言葉を待っていた。

 真剣なまなざしを向けてくる様子に、いつかの有馬記念のスペシャルウィークの様子が重なった。

 あの時も、今も。スペシャルウィークは俺のことを待っている。

 ……それに気づいたら、はっとした。

 迎え行くのが恐ろしい、だなんて俺が思っているうちも。彼女に勇気をもらっているうちも。

 彼女は、俺がやってくるのを待っていた。世界で唯一の味方を。自身の夢への共犯者を。


「……もし、もしだ。世界で唯一の味方が、目の前からいなくなったら、どう思う?」


 口をついて飛び出した質問に、スペシャルウィークは驚いて目を見開いた。

 だが、その質問は彼女にとってあまりにも簡単なものだったのだろう。小さく笑って、けれどしっかりと答える。


「何か事情があるんじゃないかな、と思うのがまず一つ」


 指を一つ立てる。その言葉は、いつかマヤノが……一年目のクリスマスのときに教えてくれたことと一緒で。


「消えちゃったら……次は、会いに来るときに分かるように輝こうって思うのが、もうひとつ」


 指を一つ立てる。その言葉は、俺の支えでもあった。有馬記念の歓声が、ふと脳裏によみがえる。

 有限実行。実際に優駿の頂上に立ったスペシャルウィークは、俺のことを待っていた。

 だから、これは聞きたいことじゃなくて。聞かなければならないことだ。


「もし、名声が日本中に轟いても、その人が現れなかったら……?」

「――次は世界中に名前を轟かせてみせます」

「それでも現れなければ……」


 そこで、スペシャルウィークは何故か小さく笑った。驚いて俺がスペシャルウィークを見れば、彼女は……。

 彼女は、どこまでも挑戦的な笑みで宣誓する。


「世界で無理なら宇宙を、宇宙で無理なら次元を、もっともっと上へ、もっともっと広く!」

「……はは、なんて無茶な」

「だって、言うじゃないですか」


 秋風が、飄風が頬をかすめた。それは、いつかスペシャルウィークを夢の舞台へいざなったときのような。

 ぱちりぱちりと目の前ではじけるかのように、記憶が蘇る。ああ、”そう”なのか。

 この後に続く言葉を、俺はきっと一度聞いたことがある。

 あの日も、こんな風が――海風が、頬に吹き付けていた。



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