【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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638: ◆FaqptSLluw[saga]
2024/06/25(火) 22:31:16.95 ID:KfwqF3Hv0
「……おい。おい、トレーナー……!」

「……っ!」

「しっかりしろ、アンタの目の前にいるのは何も知らない”スペシャルウィーク”だぞ……!」


リョテイに小さく背を突かれて、ようやくまともに思考が回り出す。

そうだ、スペシャルウィークは俺が過去に何があったのかなんてこれっぽっちも知らないんだ。

状況だけ見たら、優秀なチームを取りまとめるトレーナーがいきなり取り乱しているってことになる。

……困惑、してしまうだろうな。


「すまない、スペシャルウィーク。少し考え事をしていたんだ」

「考え事……ですか。あの、顔色が悪いですが、体調は大丈夫なんですか……?」


心配そうにこちらをのぞき込むアメジストの瞳に、俺は思わずどきりとした。

わずかな暗さはあるものの、以前と変わることなく煌めいている瞳に。

……罪悪感を感じて、どきりとしたんだ。魅力的だけど、それよりも後ろめたくて。

声がうまく紡げているのも、俺が彼女の顔を見ていないからだ。瞳をそらしているからだ。


「……あ〜。すまん、スペシャルウィーク。ちょっとコイツと話しがあるから一旦離籍してもいいか?」

「え、あ。はい……!」

「ほらほら、こっちのソファでゆっくりできますよ〜っと」


行くぞ、とリョテイに手を引かれて部屋を出る。

廊下に出て扉を後ろ手で締めたリョテイは、あきれたようにため息を吐いて、俺の顎を掴んだ。


「顔色、悪すぎだろ」

「……そんなにか?」


俺の言葉に、リョテイはもう一度息をついて。そして顎をくい、と持ち上げた。


「死人もかくや、って感じだ。今のアンタは、誰が見ても憔悴してるってわかるぜ?」

「……」


今朝、夢を見た。心が抉られるような夢だった。もちろんそれもある。

それよりも俺の心を満たしているのは、後悔とうしろめたさだ。

本当に、俺はスペシャルウィークと向き合うことが許されているのだろうか?



「――許されてるか、許されてないかの話じゃないんじゃないか?」


ふと、リョテイの言葉が耳に響いた。

許す、と俺はリョテイの言葉を反芻して。リョテイも、許すと、俺の言葉を反芻した。






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