【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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495: ◆FaqptSLluw[saga]
2022/01/09(日) 17:55:44.63 ID:UEG2SsUQ0

「――トレーナー、アタシにあのおまじないかけてみろよ」
「は?」


 トレーニング前、トレーナー室。

 唐突にそんなことを口走ったリョテイに、俺は思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。


「……え? いや、一体どういうことだ……?」
「どうもこうも無いだろ、あのおまじない、制限ないんだろ?」
「まぁ、確かに回数制限自体はないけれど……」


 おまじない――以前ルナに教えてもらった、記憶を呼び起こす呪文。

 以前担当したウマ娘の記憶を呼び覚ますおまじないで、今現在は二人呼び起こしている。

 方法は簡単で、呼び覚ましたいウマ娘の前で”おはよう”と声を掛けるだけ。

 ただし、”担当ウマ娘が生まれてから死ぬまでの記憶”を一気に脳に呼び覚ますため、まじないをかける相手にはかなりの負担がかかる。


「理由を聞かせてくれないか」
「……サイレンススズカ。アイツの走りは異次元だ。アタシもこのまま普通の練習をしたところで勝てるとは思えない」
「だから、あわよくばヒントを得ようと?」
「そういうことだ」


 なるほど、過去の体験から学ぶことが出来れば、それは大きな力となるだろう。

 ……だが、その提案には違和感を感じる。過去の自分に頼ると言うのは、ダービーで宣言した”正々堂々と戦う”という信条に反している気がしたからだ。


「……リョテイ、お前それ以外にも何か理由があるんだろ」
「……ね、ねぇよ」
「……あるんだろ?」
「……。あっちゃ、悪いか?」


 頬をわずかばかり染めて、リョテイは俯き加減で呟く。

 何かを訴えかけるような目線が、意味ありげに俺の瞳を、そして手を見つめる。


「――理由は言いたくない。でも、少なくとも、それを悪いことには使わない」
「……。まぁ、理由を言いたくないのは解った。でも、大丈夫なのか……?」


 この”おまじない”には負担がかかる。それは、おまじないを掛けた場に同席していたリョテイも知るところにある。

 その上でおまじないをかけることを望むのは、何かしら大きな理由があるはずで。

 精神的にも、肉体的にも。元気でいるのか、あるいはいられるのか。その確認としての、問いかけだった。


「大丈夫だ、だからやってくれ」


 そうつぶやくリョテイの弱弱しさに、俺は僅かな心配を覚えたのだった――。


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