【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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◆FaqptSLluw
[sage saga]
2021/09/06(月) 00:17:02.07 ID:FCb8NHh60
「そりゃ私もまだモヤモヤしてんだ。結局アンタがどうしたいのかさっぱりわからねぇ」
「……言うつもりもなかったからな」
「そうかい、でももう十分だ。仔細は会長さんに教えてもらったからな」
「……」
驚いた。まさかルナの方から彼女たちに説明がなされるとは。
「驚いたって顔してんな。もうすでに事情を知ってるからってアレか? それとも――アンタの事実を知ったうえで、変わらずに接してることにか?」
「はっきり言えば、後者だな」
「なるほど、アンタは担当ウマ娘以前に、自分の存在の価値について理解が足りてねぇみたいだな」
そう言いながら、キンイロリョテイは棒状の機械を取り出す。
……多分、ボイスレコーダー。普段からそんなものを仕込んでいることに驚きを隠せない……が。
そんな俺の驚きをよそに、キンイロリョテイは再生ボタンを押してしまう。
『トレーナーさんは確かに隠し事をしてて、多分その隠し事のせいで動きが制限されてるって思うんですよ、アタシ』
『それで、ほら。やっぱりアタシたちって担当ウマ娘じゃないですか。だったら、さあ』
『――分かち合いたい、そう思っちゃうんですよね〜……』
ナイスネイチャの声だ。いつの録音なのだろうか。
波が寄せる音が聞こえるところを見ると、最近であることは確かだけど……。
「アンタは気付いてないかもしれないが、私たちもただ”私たちのトレーナーだから”ってアンタに従ってるわけじゃねーんだよ。アンタは自分が思っている以上に……その、なんだ。し、慕われてんだよ」
「……俺を?」
「気付いてないとでも思ってんのか。いつも遅くまでトレーナー室で仕事してるの知ってんだぞ。私たちのトレーニングメニューとか、いろんな調整とかしてくれてるの、気付いてるぜ」
だから余計に許せなかった、と。続けられた言葉に、申し訳なさ以前に――喜びを覚えていた。
てっきり認められていないとばかり思っていた。
俺が彼女にあんな言葉を吐かれたのは、内心俺のことを嫌っているからだと思っていた。
でも、違った。
心配だったから、彼女は怒った。
「本当はアンタから話してほしかったけど、事情が事情だからしょうがないと思ってる。これで隠し事もナシだろ? だったらアンタを邪険にする理由もねーよ」
「……キンイロリョテイ」
「勘違いするなよ、あくまでアンタをトレーナーとして真に認めたってだけだ! それに……浪漫を一緒に追い掛けるんだろ。私がアンタのこと認めずに負けたら、悔しいじゃねーか」
「……お前、案外かわいいよな」
「……あ?」
ぽろりと漏らせば、まるで水を打ったように静かになるキンイロリョテイ。
次の瞬間、彼女は劣化の形相を一瞬浮かべて、そっぽを向いてしまった。
「そう言うやり口で会長さんのことも丸め込んだのかよ、スケコマシ」
「……いや、別にシンボリルドルフは」
「”は”ってことは他の誰かは丸め込んだってコトだな」
逃げ場がない。否定したところでなんやかんやいわれるだろうし、かといって肯定してしまえばそこでおしまいだ。
辟易としながらも、俺はなおも顔をこちらに向けないキンイロリョテイを見る。
「……明日、来いよ」
「ああ」
「遅刻したら絶対に許さないから」
「ああ」
「じゃあな、ケダモノトレーナー!」
そう言いながら、勢いよく去っていくキンイロリョテイ。
言葉は苛烈で、否定的。
でも、どうしてだろう。
何故だか、キンイロリョテイの尻尾は……大きく揺れていた。
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