【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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457: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/12/20(月) 03:40:15.86 ID:78RceAwu0


 コール音が、暗闇に包まれた部屋に響く。

 ひとつ、ふたつと鳴った後――電話は取られる。


『――もしもし?』


 鈴を転がすような、甘い声。

 夢にまで願った彼女の声が、今スマートフォンから響いていた。


「……遅い時間にごめん、今大丈夫か?」
『うん、大丈夫だよ、トレーナーちゃん』


 喜びに上ずる声。

 俺はわずかばかり安堵して、握っていた拳を開いた。


「さっきはメッセージ、ありがとな」
『えへへ、トレーナーちゃんのことだからキンチョーしてるんじゃないかって思って、少しでも落ち着いてくれたら嬉しいなって思って送ったんだ〜』


 ……マヤノトップガン。前回ループ時に育成した、担当ウマ娘。

 有馬記念で敗北したことによって、引き離されてしまった比翼連理のウマ娘。

 そして……俺にとって大事な存在。

 一度喪失を経験した俺たちだからこそ、お互いがどういうタイミングで心理的に張り詰めているのかを理解できる。

 そして今、マヤノは俺の緊張の糸を解す目的でメッセージを送ってきた。

 その事実が、胸が躍るほどに喜ばしい。


「ありがとな」
『今度はマヤが潰れちゃいそうなとき、トレーナーちゃんが支えてよね? ユー・コピー?』
「……アイ・コピー。この返答も久しぶりだな」


 だね、と通話口から聞こえる笑い声。

 俺も自然と口が綻んで、声ともつかない笑い声が漏れた。


『――で、トレーナーちゃんはなんでマヤに電話してくれたの? 疲れてるんじゃない?』
「……笑わないで聞いてくれるか?」
『うん、笑わないよ。マヤは話し上手の聞きじょーずってよく言われるんだ〜』


 誰からそんなこと言われるんだ……? 等と思いつつ、話しやすい空気にしてくれたマヤノに心の中で感謝する。

 ……と言うのも、理由と言うのは酷く女々しいものだ。


「声が。声が、聞きたくなった……」
『……』
「乗り越えたと思ったら、安心してさ。安心したら、結構疲れてたってことに気付いたんだよ」


 物理的にもそうだが、心理的に。

 いつループするかもわからない恐怖や、今ループになって展開した事実への心理的な折り合い。

 ……特に、ターボやマヤノに関することは、心に呵責を問うていた。

 とても浅ましい考えだが、マヤノにこの心の中の暗いものを聞いて、それを赦してもらいたかった。

 あと、単純に。好きな人と話していたい――他の何を考えるでもなく、自然に、一番に出てきた考えはこれだった。


「……あ、あはは。やっぱり気持ち悪いよな。成人男性が、そんなこと――」
『……あのね、トレーナーちゃん』


 通話口から聞こえる、平坦な声。感情を抑え込んでいるようだ。

 ここからどんな言葉が飛び出してくるのかわからない。俺は生唾を飲んで、続く言葉を待った。


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