【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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238: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/03(日) 12:46:46.86 ID:hz0YCbH10
 しばらく撫でていると、ツインターボはついに堪えきれなくなったのか、俺の胴に顔をうずめてきた。

 じんわりと腹部が温まっていく。……ツインターボは、泣いていた。

 悲しみを俺が全て感じ取ることは出来ない。その涙の本当の意味を、俺はよく知らない。知れない。

 いつか、その悲しみの総てを汲み取ることが出来る日が来るまでは、この心の痛みを抱えて生きるのが、俺に課せられた罪。

 静かに、宥めるように、ツインターボの頭を撫で続け――気が付けば、辺りはとっぷりと暮れていた。


「……もう夜だな、送ろう」


 俺がそう言えば、ツインターボは服を握る力を強くした。……言葉に出さないまでも、この所作が意味するところは理解できる。

 つい、とリョテイに視線を向ければ「従っとけ」と言わんばかりに顎をしゃくられた。

 ……つまり、ツインターボが満足するまで一緒に居てやれ、という事らしい。

 多少の叱責はこの際覚悟するとして、問題は寮長……つまりヒシアマゾンへの説明だが。


「担当トレーナーが別のウマ娘とイチャコラしてるのは、正直妙な気持ちだが、まぁ事情が事情だしな」


 ……と、リョテイが説明してくれることになった。こうなれば憂いはない。……いや、あるにはあるが。

 こんな憂いなんて、ツインターボのそれと比べたらなんてことないものだ。今は、彼女のしたいようにさせたい。


「ねぇ、トレーナー」
「……どうした?」
「ターボのこと、ターボって呼んでほしいんだ!」


 突然の申し出だった。でも言われてみれば、担当ウマ娘なのに他人行儀だったのかもしれない。

 ターボ、と口に出して反芻すれば、ターボも満足したようで、ふんすと鼻を鳴らした。

 瞳は若干暗いままだけど、変わっていない態度に安堵する。


「なぁターボ、一つ聞いていいか」
「ん、どうしたの、トレーナー?」
「ターボはさ、俺が突然消えても……それでも俺のことを信じてたのか?」


 かねてから聞いてみたかったことだ。

 "だって、一番の味方だよ……? 何か理由があっていなくなったんだ、って思う。"

 "――そしてそれが多分、自分のせいなんだろうなって思う。"

 ……マヤノから聞いた言葉がずっと引っかかっていた。あの場では納得していたけれど、やっぱり本人に聞いてみないと本当のところはわからない。

 ターボはきょとんとした表情で俺のことを見て――そして、いつもの、見る者に元気を与える笑顔を浮かべて、言った。


「――信じてた! じゃなかったら頑張ってなんかない!」


 何処までも眩しい笑顔に、俺はこの日初めて、なんだか救われるような気がした。

 自分勝手な思いなのかもしれないけれど、でも、ターボと話せてよかった、と。

 手を差し出せば、それを握るターボ。正眼に彼女のことを捉えて。


「――ッ?!」


 妙な気配が奔った気がした。

 しかし、ぐるりと見渡しても、それらしいナニカはそこにない。

 ターボもこちらのことを心配そうに見つめていて……。

 粗方眺めて何もなかったので、気のせいだと判断することにした。これ以上ターボを不安にさせてはいけないだろうし。


(……だけど、なんだか胸騒ぎがするな)


 ふと見やった三女神像の方から、カラスが一斉に飛び立っていた。


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