【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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236: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/03(日) 11:54:13.20 ID:hz0YCbH10

「――っ」


 その場に立ち尽くすことしか、出来なかった。

 俺がループした後のことは、考えていたつもりだった。

 どれだけ苦しい思いをして競争バとして過ごしてきただろう、とか。

 どれだけ悲しい思いをしてこれからを過ごすのだろう、とか。

 違う――そんな甘いものじゃなかった。

 一生だ。一生俺が与えた傷が、彼女たちには残り続ける。

 永遠に訪れない再会の機会を待ち望んで、望み半ばで死んでいく。

 どれだけ会いたいと思っても、絶対に会うことは出来ない。どれだけ絶望したくても――俺が会いに来るかもしれないという希望が、彼女たちに絶望を許さない。

 いっそ俺の記憶が彼女たちから消えてしまっていたほうが、救いがあった。

 でも記憶は消えることはない。どれだけ忘れたくても、消失なんて鮮烈な記憶がなくなるはずがない!

 地獄だ。周囲に分かち合える人がいないのであれば、猶更……!


「ねぇ、トレーナー……。ターボ、トレーナーにもう一回会ったら言ってほしいことがあったんだ」


 ツインターボはゆっくりと、こちらに歩み寄ってくる。

 その歩みに、どう相対していいのか、俺にはわからない。

 ツインターボの抱える気持ちと俺の覚悟は、明らかに釣り合っていないというのに。


「――トレーナー、ターボ、がんばった?」


 ああ、と答えかけた口は閉ざされた。その言葉は、俺が簡単に言っていい言葉じゃなかった。

 俺がツインターボを、こんな表情にしてしまった。不可避の現象があったとはいえ、俺は、ツインターボを孤独にしてしまった。

 それも一生!

 自らの命を捧げても、きっと足りない程の罪科。どれだけ赦しを乞うても、もう二度と巻き戻らない時。

 俺は、本当に、言葉を返してもいいんだろうか……?


「……おい、トレーナー」
「……リョテイ?」
「――不相応でもいい。アンタが何を感じてるか何となくはわかる。とにかく応えろ」


 胸倉をつかまれ、耳元にささやかれた言葉。嘘でも何でもいいから、言葉を返せ、と。

 どうせ罪を背負うなら、背負わせたものは降ろせと。

 贖罪なんてない、死を以て贖ってもなお深い、いわば冒涜とも呼べる仕打ちを行った俺に取れる責任は、確かにそれくらいなのかもしれない、と思える。


「ターボ……」
「……トレーナー」
「――ターボ、よく頑張ったな」


 恐る恐る手を伸ばして、ツインターボの頭を優しく撫でる。

 心が軋む音がして、でもどこか安心した。

 明確に拒絶されたら、もう俺はトレーナーとして立ち直れなかったはずだから。

 だから、伸ばした手が弾かれなくて、本当に良かった、と。

 どこか安心している俺がいた。








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