【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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231: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/03(日) 10:58:42.27 ID:hz0YCbH10


 瞬間の出来事だった。

 呆けたような表情のツインターボ。

 風が吹き、一瞬の間に。

 つう、と。ツインターボの鼻から血が流れだした。

 驚いたツインターボは自らの鼻を拭うそぶりを見せるが、止まる気配がない。


「大丈夫か!?」


 急いで駆け寄って、ハンカチを手渡すが反応がない。

 まるで魂がすっぽりと抜け落ちてしまったかのように、そこに意思というものが見受けられない。

 相反するように流れ出ていく血液はとどまることを知らず、俺が彼女の鼻にあてているハンカチはその大半が赤黒く染まっていた。


「トレーナー、とりあえず医務室に――」


 慌てて出てきたリョテイに頷こうとした、その時だった。

 不意にターボの瞳の焦点が、戻った。

 鼻から流出する血液は止まることはなく、ツインターボはそれに驚いた様子を見せた。


「ターボ、なんでマチタンみたいに……?」
「大丈夫か、ツインターボ。気分は悪くないか?」
「……え?」


 俺の声が聞こえていなかったのだろうか。気分はどうだ、と繰り返そうとしたとき。


「これ、夢……?」


 小さく、小さくツインターボは呟いた。

 その声があまりにか細くて、今にも消えそうで。

 声の様子に、二の句を継ぐことは憚られた。

 ツインターボはぱちりと目を瞬かせて、両腕を動かし、手を握ったり開いたりする。そして自らの頬を強く引き――。

 これが、現実だと認識するように、改めて俺を見た。


「トレーナー……?」


 確認するような声音だった。そこに俺がいることを疑うような。

 瞳の不思議な虹彩は、昏く何をも見通していなかった。いつもの彼女のような、透明で、透き通っているそれは、此処にない。

 ……なんとなく、瞳に湛えられた感情は絶望なんじゃないか、と思えた。


「トレーナーだよね……?」


 そうであってほしい。ツインターボはまるで願うように、問いかける。

 俺が突然消えて、どれだけ苦しい思いをしたのだろう。どれだけ悲しい思いをしたのだろう。

 ツインターボが背負った苦難の道のりは、想像できないほどに険しいもので。


「――俺なんかが君のトレーナーであり続けていいのなら、俺は君のトレーナーのままだ、ツインターボ」


 果たして俺にツインターボのトレーナーたる資格があるのかすらも、疑問に思えた。

 俺自身はツインターボのトレーナーでありたいとは思っている。過去に担当していたウマ娘だからって、俺はそのウマ娘たちの担当トレーナーではなくなったという認識を抱けない。

 でも、突然俺が消えた世界で孤独に戦っていたツインターボは、果たして俺のことをトレーナーだと思ってくれているのだろうか。

 ……浅ましいまでの確認の言葉だった。


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