【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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163: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/09/25(土) 18:46:02.83 ID:0P0lgosC0

 それからは、つつましくもチーム・エルタニンの面々でクリスマスパーティーを楽しんだ。

 ただケーキを食べるだけの場だったが、それでも……誰かと一緒にクリスマスを過ごすというのは、心が浮きたつ。

 とても楽しい空間だった、願わくば来年も、再来年も……その先も。こんな楽しくて、穏やかな日常を過ごせることを願いたくなった。

 ……ちなみに、メンバーについては夜も遅い時間になったので全員寮に返した。ナイスネイチャとルナはそれぞれ片づけを手伝うことを申し出たが、俺はそれを固辞した。

 キンイロリョテイはそのまま帰った。そのままの君でいてくれ。

 とまぁ、そんなわけで。俺は一人でトレーナー室の片づけをしていた。

 その時だった。扉が何故か開いて。


「……あれ、なんで?」


 鈴を転がすような声が聞こえてきて、俺は思わず振り返った。

 夕焼けにを溶かし込んだようなオレンジの髪の毛。実った小麦のようにキラキラと輝く、黄金の瞳。

 うっすらと香る、少し甘い匂い。

 ここに来るはずのない、彼女の姿。それが、今。

 何故か目の前にあって。


「マヤノ……?」


 思わず、そうつぶやいてしまった。

 にんじん色の少女――マヤノは、俺の吐き出した言葉に、驚きと懐疑の視線を浮かべる。


「……えーっと、キミは……?」
「……。済まない、資料で君のことをよく見ていたものだから」
「え、マヤのことを?」


 ぱちくりと、大きな瞳を瞬かせて、マヤノは言った。

 そうすると、途端に頬を緩ませてにへら、と崩れた笑みを浮かべ始めた。


「えへへ〜……キミも、マヤの魅力にあてられちゃった人……ってコト?」
「まあ、そうなのかもな」
「えっ?! ……でも不思議、なんだかキミに言われると、恥ずかしいって気持ちより、嬉しいって気持ちが先に出てきちゃうな〜」


 呼び名も違うし、態度も少し違う。

 それでも、目の前にいるのはマヤノで。

 だけど、マヤノだけど、マヤノではなくて。

 今すぐにでも抱きしめたい気持ちが駆けだしそうで、俺はそれを必死につなぎとめた。


「……どうしたの? なんだかすごく辛そうなカオしてるよ?」
「……。ああ、少し思い出して」
「ふーん……。あ、そうだ!」


 何かを思いついたかのように手を叩くと、マヤノトップガンはこちらへと近づいてくる。

 俺の前に立ったマヤノトップガンは、ちょいちょいと招くように手を振る。かがめという事だろうか。

 これ以上何も起きませんように。気持ちが表に出ることがありませんように。

 何度も何度も祈って……俺は地面に膝をついた。

 するとマヤノトップガンは――俺の頭に手を伸ばしてきて、くしゃりと撫でた。

 驚きのあまり固まる俺。そんな俺を意も介さずに、マヤノトップガンは撫で続ける。


「……なに、を」
「辛い時、こうすると安心するって誰かから教えてもらったんだ」
「誰か……って」
「んー……わからない。でも、とっても大事な人だったってことは覚えてるよ!」


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