【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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161: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/09/25(土) 17:51:46.77 ID:0P0lgosC0

 午後六時半。トレーニングも早々に切り上げ、俺は市街地に出ていた。

 やはりと言うべきか、とても寒い。手袋やマフラー、イヤーカフなどを身に付けてはいるが……それでも隙間から入り込む冬の空気は、体温を容易に奪っていく。
 
 暖かい飲み物をしばきながら、ゆっくりと買い物をしたい気持ちにも駆られた。だが、トレーナー室に待たせているチーム・エルタニンの面々のことを思えばそんなことはしていられない。


――12月は25日。今日はクリスマスだった。


 キラキラと輝くイルミネーションに、方々から聞こえてくる客引きの声。五感全てを騒がせる空間は、不思議と不快感を感じさせることなく、俺のことも迎え入れてくれるような気がした。

 物事の捉えようは自分次第なのだな、とふと思った。

 マヤノと過ごしていた時期は、こんな事を思わなかった。――それはきっと、俺がマヤノに支えられなければ立てないほどに弱かったからなのだろう。

 もし、次マヤノと共に歩くことが出来るのならば。

 その時は、もっと楽しく、共に歩きたい。


「一つ余分に、ケーキを買っていくか」


 小さくつぶやいて、甘い香りに誘われるように、店へと足を進めた――。


―――――――――――――――――――――――――――――――


「遅い」


 トレーナー室に戻るなり、キンイロリョテイは腕を組んでこちらを睨んでいた。

 これでもそれなりに急いだつもりだったが、どうやらキンイロリョテイにとってはかなり待たされた判定になっているらしい。


「これでもそれなりに急いだつもりなんだけどな」
「あ? 私ならもっと早く行きかえり出来たけど?」
「ウマ娘の身体能力基準で考えないでくれ……」


 持久力、膂力、走力、それらすべてが人間に勝るウマ娘。

 体のつくり自体は人間のそれと大きく変わらないため、歩行の速度は人間と同等。だが、走るとなるとその差は歴然だ。

 人類最速の二倍以上の速度がウマ娘の標準だ。その凄まじい速さから、最近はウマ娘走行専用レーンが公道に設けられるなどするほどである。


「まぁまぁお二人さん。扉を開けたままじゃ、せっかくの暖房代がもったいないですよ」
「……なんか実家の母を思い出した」
「誰がオカンじゃ〜!」


 頬を膨らませながら憤る様子のナイスネイチャを傍目に、俺は買ってきたケーキを部屋中央の机に置く。

 さて、紅茶でも淹れようか――と思っていたところで、ふとトレーナー室の扉が開いた。

 そこにはトレイの上にティーポットとティーカップを持ったルナが立っていた。


「トレーナーくん」
「ルナ、紅茶淹れてきてくれたのか?」
「ああ、必要になると思ってね」


 小さくウインクするルナ。

 生徒会長という肩書のせいでお堅い人物だと思われがちだが、割とおちゃめな性格をしている。それがシンボリルドルフというウマ娘である。

 まぁそれ以上に気が回るし頭もさえるし、走りもかっこいい。だからこそ生徒全員の羨望を集める存在となっているわけだが……。

 感謝の言葉を述べながら、ルナの手からトレイを受け取る。

 トレーナー室に備え付けの給湯器からお湯を出して、ティーカップを温めて……そのカップに紅茶を注ぐ。


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