辻野あかり「7人が行く・EX3・出郷りんご」
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30: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2021/08/24(火) 21:10:23.62 ID:lF0ws9bq0
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深夜

根高公園・東地区

根高公園
河川敷近くにある大きな公園。晴れた日には東地区の芝生エリアで、ピクニックを楽しむ人も多い。

関裕美「……」

関裕美
吸血鬼。夜の存在になってから遠出はしていない。ご両親は富山出身とのこと。

黒埼ちとせ「裕美ちゃん、どこを見てるの?」

黒埼ちとせ
裕美が変質させた吸血鬼。出身は東京都。幼少の頃は北海道の牧場によく連れていかれたとか。

裕美「あっ、また目つき悪くなってたかな」

ちとせ「ううん。遠くて見えないものじゃなくて、そこにないものを見ようとしてた」

裕美「どういうこと?」

ちとせ「何か、想像してたの?」

裕美「ここでピクニックしたのを覚えてるんだ。とっても良い天気で、見上げると真っ青な空だけ見えた」

ちとせ「今は、夜の曇り空」

裕美「太陽は見えない。ピクニックを楽しんでる家族もいない」

ちとせ「私達にはもう見えない景色。寂しい?」

裕美「ううん。家族もいるし、私は覚えてるから」

ちとせ「そうだね」

裕美「ちとせさんには、そういう思い出ある?」

ちとせ「あるよ、牧場の景色。広い空へ、あの子が走っていく思い出」

裕美「目を閉じてみたら思い出せるかな?」

ちとせ「それじゃ、閉じてみようか」

裕美「うん」

ちとせ「……」

裕美「……」

ちとせ「私には見えた」

裕美「私も。でも、ね」

ちとせ「私達には眩しすぎた」

裕美「そう。私達は変わったから」

ちとせ「今は夜空が見守ってくれる。だから、記憶の中だけでいい」

裕美「次がなくても平気」

ちとせ「ええ」

裕美「ちとせさん、何か見つけた?」

ちとせ「なーんにも。静かな夜だよ」

裕美「こっちも」

ちとせ「『チアー』の姿は見えない」

裕美「あのウワサ、本当なのかな」

ちとせ「確かめてみるまではわからない」

裕美「亜季さんも同じこと言ってた。ちとせさん、教会に帰ろう」

ちとせ「ええ」

裕美「月曜日まで何もないといいけど」


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