【まどマギ】小巻「見滝原中に転入したわ」【安価あり】
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807: ◆xjSC8AOvWI[saga]
2022/01/12(水) 22:47:05.51 ID:8yjF9Cq90


 しかし、マミは言いよどむ。ゆまの純粋な目を見てそんなことは言えない。

 実際にこうして会ってしまったから。『別れ』をするならせめてワルプルギスの夜までは先延ばしだ。それまでは死ねない。


 考えていなかった展開にマミは動けなくなった。ようやく杏子はマミを見据えて睨んだ。


杏子「なんで今になっていきなり! あたしに謝るって!」

杏子「アンタは今も正義だなんだってヒーロー気取ってんだろ? 使い魔見逃すのも許さないし、こうして“ズル”するのも許さないんだろ?」


 杏子は空になったスナック菓子の袋を傾けて呷ると、地面に捨てて足で踏みつけた。

 見せつけるためだ。盗んだものを貪って、その残骸すら身勝手に捨てていくさまを。


杏子「変わったってのか? あたしのが正しかったって認めんの?」

マミ「変わらないわよ。……変わりたくなんてないの。でもね、あなたの気持ちはわかったから」

杏子「気持ちがわかるとかハンパな同情が一番ムカつ……――」


 杏子は怒りにまかせて吐き出そうとした言葉を一旦止めた。

 マミの纏う空気が思っていたよりもあまりに重かったからだった。


杏子「……」


 その分はすぐに気まずい沈黙へと変わった。


マミ「確かに私は今までわかってあげてると思っていながら何もわかっていなかったの。それでずっと傷つけてしまった」

マミ「私はただ何も知らずに威張ってただけ。あなたを正しいとは言えないけれど、私も正しいとはいえなかった」

杏子「……別にあたしはそんなこと言ってほしいわけじゃないけど」

マミ「そうね。これも私が言いたいから言ってるだけよ」

杏子「もうわかったよそれは。それより何があったわけ? まさか本当に……」


 杏子の攻撃的な雰囲気もすっかりとしぼんでしまった。

 マミは床に落ちたゴミを拾い上げて、マンションの中へと歩いていく。


 これ以上なんて考える気はなかった。謝って、それで終わりにするつもりだったのに。


杏子「おい!」

ゆま「マミ! なかなおりできたんだよね? なんでまだ悲しそうなの?」

マミ「……ついてきて。あなたが知りたがっていることについて、知っていることは話すから」



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