【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
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9: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/07(土) 23:31:03.28 ID:H/R4DuwY0
 見知らぬ森をネズミは駆ける。どこに何があるかも分からない。しかし、少女が来た方向へ向かって進めば開けた場所に出るかも知れない。依然と何も思い出せないネズミだったが、こうして自分の足で走ることが何故だか妙に懐かしいと思える不思議な感覚を覚えながら進んでいると、目の前に大きな屋敷が見えた。立派な門の前には、眼鏡を掛けた燕尾服の老紳士が立っている。

「お嬢様! お嬢様!」

 彼がお嬢様と呼ぶ人物こそ、さっきの少女のことだと察したネズミは老紳士の前に立ち止まり、小さな体をいっぱいに使いながら身振り手振りを交え大声で叫んだ。
 
「おい、じいさん! あんたの探してる娘はあの森ん中で倒れてるぞ! って、聞いてんのかコラ!!」

 いくらネズミが声を枯さんばかりに叫べども、老紳士は足元には一瞥もくれない。まるでネズミの声は聞こえていないかのように。


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