44: ◆3m7fPOKMbo[sage saga]
2021/09/13(月) 21:10:26.62 ID:v4/Avj0R0
あなた「嘘だろ」
ランジュ「私、あなたは要らないわ」
あなた(それまでは笑顔を張り付けていた彼女の顔が変わったのは、その直後だ)
ランジュ「ううん……あなたみたいな人が、一番嫌いよ」
あなた(その素敵な顔を歪めて、はっきりとした軽蔑と憎しみを込めた瞳が、サングラスごしでも解る)
あなた(やはりそう見えるか、いや、今までの話を聞いてたらそうなるか。栞子ちゃんからどんな話を聞いていたかは知らないだろうけれど、きっと鍾嵐珠はこちらを憎んでいるレベルで嫌いになりそうな事だけは解り切ったことだった)
あなた「……だろうね。そんな顔してるや」
スタスタ
あなた「ぐぬぬぬ、しかし監視委員会か」
あなた「………しかしよりによって、あの鍾嵐珠か、鍾嵐珠なんだよなぁ…」むむむ
あなた「かすみちゃん…」
あなた(屋上の片隅に、いた。震える足が折れないように、体重を背中にかけて、震える手が取りだした注射器)
あなた(かすみちゃんはこちらに気付くと、目をそらそうとした。見て欲しくないのは解ってる、だけどいつかそうなる自分を思うと、それから目をそらせなかった)
あなた(ぷしゅ、という音。苦痛を堪える瞳。そして、同時に悟る。自己注射しなければならない、それを)
あなた(スクールアイドル部の存在が、この子の症状を急速に悪化させてしまった)
あなた「……ごめん」
あなた(そっと抱きしめた。透明で空っぽになっていたから、また明日が楽しみになってきた。だからその明日の為に二か月という時間は惜しくなかった)
あなた(でもそうじゃない。君と一緒に死んでいく、筈なのに。それが出来なくなってしまった)
あなた(それでも、恨み言一つも言えないのは、尊厳を守る為だ。それはぼくが屍者の帝国まで連れていくものだ。だって、その尊厳を守らなきゃもっと多くの希望が潰えるんだ)
あなた(シンデレラに、魔法をかけなくちゃ)
『かぼちゃの馬車はどこに消えた?』
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