【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」スペ「2スレ目です!」【安価】
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◆FaqptSLluw
[saga]
2021/08/31(火) 01:47:59.49 ID:CPf3aVxE0
「……おい、トレーナー」
「なんだ、キンイロリョテイ」
「――本当にこのトレーニング、効果が出てるんだろうな?」
キンイロリョテイは汗を滴らせながら、俺に問いかけた。
妙に鋭い視線が唐突に降り注いで、俺は思わず息を呑んだ。
だが、この問いには明確な答えがある。俺は彼女のトレーナーであり、彼女の勝利の為ならば寝食を厭うことはない。
……ただ、そのことをはっきりと伝えてしまっては、下手すると好感度が上がってしまう。
好くのも、好かれるのも。もうたくさんだ。
「おい、私を置いて自分の世界に浸るなよ」
「……すまない。トレーニングの効果があるのか、という話だったな」
「ああ、この地味で過酷なトレーニングに何の意味があるのかって聞いてんだ」
……彼女の抱く疑問は正当なものだ。
確かに、俺が組んだトレーニングメニューは恐ろしく地味で、同じことの繰り返し。
成果を出す機会が12月の末まで与えられないのであればなおさら。
だけど、成果を出す機会を一定の水準以下で設けては、トレーニングの意味がない。
故に。
「意味はある。だが、意味を説明すれば、君はそれを実践する。それでは意味がない」
「あ? 実践の何が悪いんだよ」
「――君は知る必要がないことだ。少なくとも、今は」
……とげとげしい言葉であることは十分に理解している。
だが、こうでも言わないと――彼女の”問題”は解けることはない。
キンイロリョテイ――孤独だからこそ生まれたその”問題”は、こうでもしなければ、解けることはない。
「そう、かよ」
「……不満か?」
「ああ不満さ、不満だよ! 何の説明もなくトレーニングを押し付けられる気持ちにもなってくれ」
「……良く理解している。だが、切に説明は出来ない」
「……チッ。まぁいいさ。アンタがトレーナーである限り、私たちは健全に育てられなくちゃならない。トレーナー、アンタがもし、このトレーニングに何の意味も持たせていないなら、その時は」
キンイロリョテイは、俺の胸倉をつかんで、持ち上げる。
ウマ娘の膂力は、人間の比ではない。俺の体は簡単に持ち上がって、首が閉まる。
それでも、俺は浮かべた表情を消すことはない。
そうして次の言葉を待たなければ、この仕打ちへの贖罪とはならない。
「――その時は、私がアンタを殺す」
酷く鋭い視線で貫かれて、竦みそうになる足。
それを何とか強く抑えつけて、ただ平坦に「ああ」と答える。
……今にでも出てきそうな弱音が、表情に出ていないことを祈る。
やがて、解放。地に落ちた俺は咽そうになるのを無理やり止めて、去りゆくキンイロリョテイの背中に声を投げる。
「心配しなくても、君に浪漫を見せてやるさ」
「はん、言うだけ言ってろ」
トレーニングを始めた時よりもいくばくか冷たい視線で、俺のことを見るキンイロリョテイ。
その瞳を見て、しかし俺は喜び、確信した。
やはりキンイロリョテイは、逸材なのだ、と。
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▼[地に閃く黄金の旅程]
Chapter1.未だ見えぬ黄金色[2/5]
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