【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」スペ「2スレ目です!」【安価】
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82: ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/26(月) 00:43:35.54 ID:+guTX/1X0

「怖くなったんだ。トレーナーちゃんの記憶が周りから無くなっちゃうって思ったら」


 当たってほしくはない予想は、往々にして当たるものだ。

 だってそれは、マヤノが抱えている闇に気付けなかったという証拠でもあるからだ。悔しいとか、哀しいとか――いろいろ思ってるけど、それよりも強い気持ちは、強い慚愧の念だった。

 あまかったんだ、なにもかも。

 マヤノは頑張ってるから何でもできるとか、マヤノだったら大丈夫だとか。ウマ娘のことを信じて、信じて、信じて――俺がしたことはそれだけだった。

 時には、信じずに疑う事だって必要だった。マヤノは本当にこの重圧に耐えられるのだろうか、とか。……俺は考えていたようで、その実考えていなかったんだろう。

 こうなることは分かり切っていた。それでも、マヤノの言葉を全て鵜呑みにして――それで、マヤノは今潰れそうになっている。

 もともと爆弾はあった。それが今――着火しようとしている。そのトリガーが、クリスマス付近にあった。

――そして。

――俺は、この爆弾を消してしまう魔法なんてものは、持っていない。


「マヤノはさ……なんで怖いって思ったんだ?」


 だけど。諦めに反して口は動き続ける。

 そうしないと、導火線が燃え尽きてしまいそうで。

 そうしたら、何もかも終わりだって感じたから。


「俺が消えることかな。……あとは、俺が消えたら、記憶がマヤノ以外から消えてしまうこともか?」
「……うん」
「怖いよな……」
「怖いよ……」
「辛いよな」
「うん……辛いよ」


 だから、俺が出来ることは、今この場において――たったの一つだけだった。

 俺がこうしてしまったのだから。その責任は俺が取るべきだ。

 だから、まずは。


「マヤノ、男の膝はあんまり固くないかもだけど……」
「……ぅん」


 否定するでもなく、マヤノは俺の膝に頭を預けて横になる。

 俺はその髪をゆっくりと漉くように撫でる。いつものように、ゆっくりと――。

 ……俺のやろうとしていることが、マヤノの未来を消しかねないものであることも理解している。

 だけど。深い絶望に沈む誰かを救うには、これしか思いつかない。俺がかつてそうだったように、マヤノが俺に与えてくれたように。俺はそれを与えることしかできない。

 その結果、何が起きるのか。体験はしていなくても、理解はしている。何せ――恐らく、俺がその状態だからだ。


「マヤノ」
「……なぁに、トレーナーちゃん」
「マヤノは、俺のことが好きか?」
「……もちろん」


 その感情のベクトルがどうであろうと問題ない。要は、感情のベクトルが問題ではなく、その大きさが問題なんだから。

 深い絶望に居るのであれば、それを上回る感情で――支配するしかない。


「マヤノ」
「……」
「大人って卑怯だなって思ってくれたって良い。今の君に伝えるべき言葉ではないとも思う」
「……? うん」






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